米利下げ示唆 景気減速に備えた路線転換だ

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 米国が金融政策の姿勢を緩和方向に転換した。市場の安定に配慮しながら、柔軟にかじ取りをしてもらいたい。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が、早期の利下げに踏み切る可能性を示唆した。

 金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、「先行きの不確実性が増大している」と指摘した。その上で「景気拡大を維持するために適切に行動する」との考えを明確にした。

 米中貿易摩擦などで、米国経済の下振れ懸念が強まっている。利下げ路線へ修正し、景気を下支えする狙いは理解できる。

 注目されるのは、FOMC参加者17人のうち8人が年内に1~2回の利下げを想定している点である。3月時点で年内の利下げを見込んでいた人はいなかった。

 FRB内部で、危機感が一気に強まったことがうかがえる。

 5月以降、新興国を中心に利下げが相次ぐ。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も今週、近く利下げする可能性を示唆した。

 利下げ路線を鮮明にしなければドル高が進み、米国の輸出企業に逆風となる。FRBにはそんな懸念もあったのだろう。

 市場では「7月利下げ」が早くも織り込まれた。さらなる利下げを促す催促相場の様相も示す。市場の混乱を招かぬよう、丁寧に情報発信を続けることが大切だ。

 FRBは今回、景気判断を下方修正した。それでも米国の株価は史上最高値の水準にある。金融緩和で投機マネーの動きが一段と活発になれば、バブルを助長する恐れがあろう。経済の先行きを、より慎重に見極めねばならない。

 トランプ米大統領は、昨年4回利上げしたFRBの政策や、パウエル議長の資質を繰り返し批判している。政府と中央銀行の信頼関係が揺らいでいるのは心配だ。

 そもそも世界経済の不透明感を高めているのは、トランプ政権の保護主義的な通商政策である。FRBに責任転嫁するような言動はいかがなものか。

 日本にとっては円高の進行が不安材料と言える。米中貿易交渉や海外の金融政策次第では円高圧力がさらに強まる可能性がある。

 日本銀行の黒田東彦総裁は記者会見で、必要な状況になれば「躊躇ちゅうちょなく追加緩和を検討する」と述べた。ただ、日銀は既に大規模な金融緩和を続けている。

 緩和余地が小さい上に、副作用への懸念も強まっている。政策運営の難易度は高い。知恵を絞り、実効性ある対策を講じたい。

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651368 0 社説 2019/06/22 05:00:00 2019/06/22 05:00:00

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