逃走男逮捕 保釈後の収容に不備があった

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 あまりにお粗末と批判されても仕方がない、検察の失態である。

 保釈後に実刑判決が確定しながら、刑務所への収容を免れようと逃走した男が、横浜地検に公務執行妨害容疑で逮捕された。逃走から逮捕まで、丸4日もかかった。

 男が神奈川県内を逃走中、周辺自治体の公立小中学校は2日間の休校を余儀なくされた。週末のイベントも中止になるなど日常生活に影響が出ていた。

 地域住民を不安に陥れた責任は重い。検察は猛省すべきだ。

 男は今年2月に実刑が確定した後、検察の出頭要請に応じず、収容に出向いた地検職員に暴力をふるおうとしたこともあった。

 にもかかわらず、今回、収容を試みた際、地検職員は防刃チョッキを身につけず、同行した警察官も拳銃を所持しなかった。こうした甘い態勢が、刃物を振り回す男の逃走を許したと言える。

 事後の対応も後手に回った。

 地検が周辺自治体に逃走の事実を伝えたのは、発生から3時間以上後だった。警察の緊急配備も遅れた。子供たちの下校時刻と重なる時間帯であり、地元から憤りの声が上がったのは当然だ。

 保釈を認めた裁判所の判断にも、議論の余地が残る。

 男は窃盗のほか、傷害や覚醒剤取締法違反などの罪に問われた。1審の審理中に保釈され、実刑判決を受けて身柄を拘束されたものの、控訴後に再保釈された。

 被告の権利を守る観点から、保釈を柔軟に認める傾向が強まっている。不必要な身柄拘束を避けるのは当然だが、裁判所は逃亡や証拠隠滅の恐れをきちんと見極め、保釈の是非を判断すべきだ。

 今回の事案をきっかけに、実刑確定者の収容に関する制度上の問題が浮かび上がった。収容を免れるために逃走した「遁刑とんけい者」は、昨年末時点で26人に上る。

 収容の実務は、元被告が呼び出しに応じることが前提の「性善説」に立っている。いなくなった場合でも、携帯電話の履歴などを強制的に調べることはできない。

 拘置所や刑務所などから被告や受刑者が脱走すると逃走罪に問われるが、刑務所に収容される前の逃走は対象外だ。出頭要請に応じない場合の罰則もない。法の不備と言えるのではないか。

 実刑確定者が刑の執行を免れるようでは、刑事司法の根幹が揺らいでしまう。最高検は再発防止のための検証チームを設置した。現行の仕組みで見直すべき点がないか、検討してもらいたい。

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655720 0 社説 2019/06/25 05:00:00 2019/06/25 05:00:00

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