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がんゲノム医療 多くの患者に恩恵を届けたい

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 国内では毎年100万人が新たにがんと診断される。2人に1人が生涯に1度はがんになると言われる。患者に新しい治療の道を開きたい。

 患者の全遺伝情報(ゲノム)を活用する「がんゲノム医療」の検査に、6月から公的医療保険が適用されるようになった。患者のがん細胞を分析し、100種類以上の遺伝子の変異を一挙に調べて適切な薬を探す。

 がんでは、加齢などで遺伝子が変異して細胞が増殖し、悪性の腫瘍になる。変異のパターンは患者ごとに様々で、効く薬も違う。最新の検査によって、患者の特性に合った薬を見つけることが、治療の効率化につながろう。

 抗がん剤の副作用などに苦しむ患者は少なくない。最善の治療法を絞り込めれば、患者の心身の負担は軽くなるはずだ。

 当面の検査の対象は、切除手術や放射線治療などの標準治療を受けたものの、効果がなかった患者らに限定される。

 遺伝子の変異が特定されても、その変異に適した薬があるとは限らない。実際に投薬治療に進めるのは、検査を受けた人の1~2割程度とみられる。

 現状では、ゲノム医療の検査をできるのは全国167か所の大規模病院で、治療方針を立てられる専門医も少ない。より多くの患者が恩恵を受けられるようにするには、専門医の育成など、検査や治療の態勢を整えねばならない。

 今回のゲノム医療が実現した背景には、遺伝子を高速に読み取る装置や、膨大な遺伝子データを分析するコンピューターの性能が向上し、比較的安価に検査ができるようになったことがある。

 検査料金は1人当たり56万円で、保険の適用により、自己負担は最大3割に抑えられる。

 ただ、将来的に対象者が増えれば、保険からの支出が増え、医療保険財政を圧迫する懸念もある。費用対効果を不断に検証し、検査にかかるコストの抑制を目指すことが求められる。

 がんゲノム医療の検査結果は、がんに関する基礎研究の材料にもなる。患者の検査結果を匿名化したうえで、国立がん研究センターのデータベースに蓄えられ、研究に活用される予定だ。

 この分野で、日本は欧米に比べ立ち遅れが目立つ。遺伝子の情報や症例のデータを使って、新薬開発を加速することが欠かせない。大学や製薬企業などの連携が重要だ。政府はこうした態勢づくりを後押ししてもらいたい。

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657681 0 社説 2019/06/26 05:00:00 2019/06/26 05:00:00

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