参院選へ 難局を乗り切る針路を示せ

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 ◆長期政権の実績が問われる◆

 長期政権の実績が問われる参院選である。難局をどう乗り越えていくべきか、日本の針路を考える契機としたい。

 通常国会が閉幕した。政府・与党は法案を絞り込み、安全運転に徹した。野党は参院選を意識し、安倍内閣との対決姿勢を強めた。統計のずさんな扱いや、閣僚らの失言に焦点を当てた。

 日本が直面する少子高齢化や、貿易摩擦への対応といった課題について、建設的な議論が行われたとは言い難い。与野党は真摯しんしに反省しなければならない。

 ◆野党共闘は奏功するか

 政府は参院選の日程を7月4日公示、21日投開票と決めた。

 安倍首相は記者会見で、「争点は、安定した政治の下で改革を前に進めるか、混迷の時代へと逆戻りするかだ」と述べた。

 参院選の獲得議席目標については、自民、公明両党で過半数の確保を掲げている。

 首相は2012年末の政権復帰後、内外の政策課題に取り組み、高い内閣支持率を維持している。11月には、首相としての通算在職日数が桂太郎氏を超えて歴代最長となる。

 長期政権ゆえのおごりや慢心も指摘されている。参院選で一定の支持を得て、政権運営の推進力を保てるかどうかが注目される。

 立憲民主党など野党は、32ある改選定数1の「1人区」すべてで、候補者を一本化した。

 立民、国民民主両党が、安全保障政策などで隔たりの大きい共産党と連携することには、野合との批判が出ている。巨大与党に対抗するための選挙戦術が、どこまで理解されるだろうか。

 立民、国民の趨勢すうせいは野党再編にも影響を与えよう。政権に是々非々の立場を取る日本維新の会は、地盤の関西だけでなく、全国に支持を広げることができるか。

 ◆消費増税へ環境整備を

 参院選でまず問われるべきは、経済政策である。

 政府・与党は、10月から消費税率を引き上げる方針を堅持する。増え続ける社会保障費を賄う安定財源だ。円滑に実施できるよう、経済環境を整える必要がある。

 軽減税率やポイント還元制度など、政府の対策で十分なのか。具体的に論じるべきだ。

 立民党などは、増税凍結を訴えている。では、不足する財源をどう補うのか。現実的な代案を示さなければなるまい。

 企業業績や雇用指標は改善したが、デフレからの完全脱却は果たしていない。生産性向上や所得の底上げを通じて、いかに経済成長を実現するか。与野党には、その道筋を示すことが求められる。

 野党は、年金収入のほかに老後に2000万円の資産が必要だとする金融庁の有識者会議の報告書を批判する。全世帯にあてはまるかのような報告書の表現は、乱暴だったと言わざるを得ない。

 一方で、あたかも年金制度が揺らいでいるかのような野党の主張は疑問だ。老後の安心をどう確保するか、冷静に議論すべきだ。

 意欲のある高齢者が働き続けられるように、社会の仕組みを整えていくことも急務だろう。

 社会保障制度全体の改革は参院選後に先送りされた。給付と負担の見直し論議は避けられまい。団塊の世代が75歳以上となる25年以降を見据え、財源の確保や給付の見直しについて、真正面から論じることが大切である。

 外交・安全保障政策も重要な論点だ。そのかじ取りを誤れば、経済も失速しかねない。

 自民党は公約で、国際社会の結束とルール作りを主導する、と掲げた。自国第一主義を唱え、貿易赤字の削減を一方的に要求するトランプ米大統領をいかに説得し、国際協調を実現していくのか。

 ◆国際協調の構築が重要

 中国は軍備を増強し、力による現状変更を試みている。北朝鮮の核・ミサイルの脅威は減じていない。国際情勢と日本の対応について、大所高所から論じたい。

 衆参の憲法審査会がほとんど機能していない現状は、看過できない。最高法規のあり方を不断に検討するのが立法府の責務だ。

 憲法の議論すら拒む一部野党の姿勢は厳しく問われよう。

 参院比例選では、優先的に当選できる特定枠が導入される。自民党が主導した改正であり、合区で立候補できない現職議員を救済する狙いがある。弥縫びほう策にすぎず、抜本的な制度改革には程遠い。

 衆参の役割分担を踏まえ、参院のあるべき選挙制度について考えなければならない。

無断転載禁止
659406 0 社説 2019/06/27 05:00:00 2019/06/27 05:00:00

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