[参院選2019]通商問題 国益を守る視点で論じ合え

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 自由貿易の堅持は、日本の経済成長に欠かせない。重要性を増す通商問題に、各党は正面から向き合うべきである。

 経済のグローバル化で各国の相互依存関係は強まった。製造業のサプライチェーン(部品供給網)は、世界中に広がる。

 その秩序を乱しているのが、保護主義的な政策を唱える米トランプ政権だ。中国も、補助金による国有企業の優遇や、外国企業への技術移転強要などが批判されている。両国の通商摩擦は、世界経済の最大の懸念材料である。

 通商政策について、自民党は公約で「国益に即した経済連携協定、投資協定の締結」を掲げた。

 国民民主党は「妥協を許さない主体的・戦略的な経済外交」を打ち出した。立憲民主党は公約で言及せず、基本政策で「日本の利益の最大化を図る」としている。

 目指す方向性はうなずけるが、具体性に乏しいのが難点だ。

 国際通貨基金(IMF)によると、米中が相互に全輸入品への関税を上乗せすれば、2020年に世界の国内総生産(GDP)を0・5%押し下げるという。

 問題は米中の摩擦にとどまらない。米国は、メキシコからの乗用車輸入に事実上の数量規制を設ける。メキシコに工場を持つ日本メーカーは、戦略の見直しを迫られている。影響が想定外に広がることへの懸念が拭えない。

 保護主義の拡大を防ぐには、自由貿易圏作りを着実に進めていくことが、何より重要である。

 日中韓やインドなど16か国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉は、年内合意を目指す。環太平洋経済連携協定(TPP)は、11か国のほか英国や韓国が参加に関心を示している。日本の主導で枠組みを広げたい。

 通商政策は、選挙の争点としては目立たないが、国民生活に密接に関わる。TPPで、輸入牛肉は安くなった。カナダへの乗用車輸出の関税は撤廃される。消費者や企業への恩恵は大きい。

 一方、打撃を受ける農家もある。悪影響への配慮が欠かせない。

 参院選後、日米貿易協定交渉が控える。大統領選に向け、トランプ大統領は合意を急いでいる。

 日本が輸入する農産品の関税削減を、TPPの水準にとどめる。トランプ氏がちらつかせる自動車への制裁関税を回避する。それには、綿密な戦略が必要だ。与野党は、国益を守るための政策論議を深めてもらいたい。

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661147 0 社説 2019/06/28 05:00:00 2019/06/28 05:00:00

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