北方領土問題 揺さぶりに動じず交渉続けよ

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 戦後に積み残された懸案の解決は、一筋縄ではいくまい。政府はロシアの揺さぶりに動じず、北方領土返還に向けて粘り強く取り組むべきだ。

 安倍首相がロシアのプーチン大統領と会談した。北極圏でのエネルギー事業への協力や、北方4島で想定している共同経済活動を推進することで一致した。

 だが、領土問題を解決する平和条約交渉については、継続の方針を確認するにとどまった。

 首相は共同記者発表で、「乗り越えるべき課題の輪郭は明確になっている」と述べた。プーチン氏は「敏感で難しい問題だ。地道な作業が待っている」と語った。交渉は長期戦となろう。

 両首脳は、歯舞群島と色丹島を引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を平和条約交渉の基礎とすることで合意している。政府は、プーチン氏の来日に合わせて領土問題の前進を図ろうとしてきたが、かなわなかった。

 首相は2012年の政権復帰後、プーチン氏と23回会談を重ねている。良好な関係をどう今後の交渉に生かしていくのか。改めて戦略が問われよう。

 協議が難航しているのは、ロシア側の理不尽な主張が原因だ。

 第2次世界大戦の結果、4島は合法的にロシア領になったと認めるよう求めている。旧ソ連が戦争終結後、不法に占拠した事実を歪曲わいきょくすることは許されない。

 欧米の制裁でロシア経済が低迷し、プーチン氏の支持率が低下していることも、日本への譲歩を困難にしているのだろう。

 平和条約交渉を進める一方、ロシアは択捉、国後両島などで道路や港湾の整備に力を入れる。両島にミサイルを配備し、周辺での軍事演習も行っている。信頼関係を損なう措置は認められない。

 平和条約が締結されれば、日本の対露投資は拡大しよう。政府はロシア側に、領土返還の意義を丁寧に訴えていくことが大切だ。

 両首脳は共同経済活動に関し、今秋にも試験的に北方領土の観光ツアーを行うことで一致した。両国のゴミ処理の専門家が、現地を視察することでも合意した。

 本格的な実施に向けて、両国の主権を害しない「特別な制度」の検討を急ぐ必要がある。

 首脳会談では、北極圏での液化天然ガス(LNG)の開発計画を日本が支援することや、極東に人間ドックなど予防医療の施設を建設することも決まった。地道に協力を積み重ね、領土問題の打開の糸口を探るしか道はあるまい。

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665628 0 社説 2019/07/01 05:00:00 2019/07/01 05:00:00

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