日銀短観 米中摩擦と円高に警戒怠るな

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 製造業の景況感悪化が続く。政府・日本銀行は世界経済の動向を注視しつつ、内需主導の力強い成長を目指すべきだ。

 日銀が、6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業で前期より5ポイント低い7となった。

 2四半期連続の悪化で、2016年9月以来の低水準だ。

 米中貿易摩擦などの影響で、生産用機械や自動車の指数が大きく悪化した。下請けにも波及し、中小企業・製造業は7ポイント低いマイナス1にまで落ち込んだ。

 米中は6月29日の首脳会談で、貿易協議の再開で合意したが、摩擦の収束は見通せていない。政府や各企業は、世界中に広がるサプライチェーン(部品供給網)への影響を精査するべきだ。

 短観によると、大企業・製造業は1ドル=109円台を前提に19年度の事業計画を立てている。現在は108円前後で、さらなる円高は企業業績を押し下げる。

 米国では利下げ観測が強まり、市場は円高が進みやすい地合いとなっている。政府・日銀は為替の動きに目を光らせ、機動的な政策運営に努める必要がある。

 今回、内需関連企業の多い大企業・非製造業は、2ポイント改善の23となった。小売りや宿泊・飲食サービスなどで上昇した。大型連休による需要増などが要因という。

 大型連休の効果は一時的で、大企業・非製造業の3か月後の予想は、6ポイントの悪化となっている。先行きには警戒が要る。

 10月には、消費税率の引き上げを控える。内需の下支えに万全を期さねばならない。

 消費増税で、社会保障制度が安定化すれば、国民の将来不安が和らぐ効果が期待できる。長い目で見た場合、消費にプラスとなるはずだ。円滑に乗り切りたい。

 政府は増税に向け、2兆円を超える経済対策を決めている。

 軽減税率や、中小店でのキャッシュレス決済の買い物に対するポイント還元などは、消費者が恩恵を実感しやすい。小売店の準備が滞りなく進んでいるか、政府はしっかりと点検してほしい。

 消費を活性化するには、賃金の底上げも欠かせない。政府は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の柱に、最低賃金の引き上げを盛り込んだ。

 ただ、短観では中小企業の景況感悪化が鮮明だ。急激な賃金上昇によって中小企業が打撃を受け、景気を冷やしては本末転倒である。適切な水準を探りたい。

無断転載禁止
667287 0 社説 2019/07/02 05:00:00 2019/07/02 05:00:00

おすすめ記事

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ