新型出生前検査 妊婦の不安をどう解消するか

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 胎児の病気が血液検査で分かる時代になった。急速に進む生殖医療にどう向き合うか、根本的な議論が求められる。

 胎児に染色体の病気があるかどうかを調べる新型出生前検査(NIPT)について、厚生労働省が今秋にも検討会を発足させる。検査の拡大の是非や、妊婦への情報提供のあり方などを議論する見通しだ。

 検査は妊婦の血液を採り、ダウン症など三つの病気を見つける。日本産科婦人科学会(日産婦)の指針により、遺伝医療に詳しい小児科医や産婦人科医が常勤する92の認定病院で行われている。

 対象は原則、35歳以上の妊婦だ。ダウン症は高齢出産でリスクが高まる。検査を受ける人が増えているのは、晩婚化の影響がある。

 留意すべきは、胎児の病気がわかった時、妊婦が重い決断を迫られる点だ。障害を受け入れて出産し、大切に育てる親がいる。一方、2013年の検査開始以来、認定病院で胎児の病気が見つかった人の9割超が人工中絶を選んだ。

 妊婦が納得できる判断をするには、病気や検査に関する正しい理解と丁寧な説明が欠かせない。問題は、最近、相談態勢が必ずしも整っていない認定外の施設で検査する人が急増していることだ。

 日産婦は対策として、研修を受けた産婦人科医が1人いれば検査できるよう、条件を緩和する方針を打ち出した。これに対し、日本小児科学会や日本人類遺伝学会は「不十分な体制で安易に行われるべきではない」と反対した。

 今回、厚労省が検討に乗り出したのは、学会に対応を任せておくには限界があると感じたからだろう。検査のあり方は従来、関係学会が決めてきたが、学会の意見が割れたままでは、妊婦の間に不安が広がりかねない。

 今後の焦点は、適切な検査を行う施設の要件をどのように定め、医療機関に徹底するかである。

 妊婦の不安を解消するには、出産後の支援態勢に関する情報提供や、本人や夫の心理的な葛藤に耳を傾ける取り組みが大切だ。現状ではカウンセリング専門家が不足している。医療現場で、研修の充実を図らなければならない。

 障害を持って生まれた子が生きづらさを感じることのないよう、福祉制度を充実させ、社会の理解を深めていく必要もある。

 生殖医療の進歩により、出産前にわかる胎児の病気はさらに増えるのは間違いない。それをどこまで知るべきなのか、といった論点にも踏み込んでもらいたい。

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669332 0 社説 2019/07/03 05:00:00 2019/07/03 05:31:30

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