[参院選]きょう公示 中長期の政策課題に向き合え

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 持続可能な社会保障論じたい

 深刻な人口減少にどう向き合い、国力を維持するか。不安定な東アジア情勢への対処も問われよう。与野党は現実を直視し、建設的な政策論争を展開しなければならない。

 参院選がきょう公示される。

 日本は、世界に類を見ないスピードで高齢化が進む。総人口は8年連続で減少し、地方の空洞化は加速している。

 場当たり的に制度を手直しする状況対処型の政治では、展望は開けまい。長期的な視点で対策を立て、実行することが肝要だ。

 経済の好循環の実現を

 日本記者クラブ主催の7党党首討論会では、経済政策や社会保障制度が焦点となった。

 安倍首相は「380万人の新しい雇用が生まれて、正規雇用の有効求人倍率は1倍を超えた」と述べ、アベノミクスの成果を強調した。

 企業業績や雇用が改善し、景気は緩やかに回復を続けているが、デフレから完全に脱却したとは言えない。企業収益を賃上げにつなげ、消費を増やしていく経済の好循環を実現するには、政策を補強する必要がある。

 人工知能(AI)やデータの活用で事業を創出し、生産性を向上させる。女性や高齢者の活躍を後押しする。成長戦略を掘り下げて論じるべきである。

 立憲民主党の枝野代表は、「不安を抱えている人たちの生活を防衛する」と述べ、老後の負担の引き下げや、子育て世代への支援を進める方針を強調した。国民民主党の玉木代表は、年金の最低保障機能を高めると語った。

 両党は、消費税率10%への引き上げは凍結すべきだと主張する一方、公約では巨額の費用を要する政策を並べている。説得力のある財源を示さなければ、バラマキとの批判は免れまい。

 枝野氏は、老後に年金のほかに2000万円の資産が必要だと指摘した金融庁の報告書を取り上げて、麻生金融相が受け取りを拒んだことを批判した。

 首相は「政策を立案する上で不適切との判断だ」と釈明したが、問題にフタをするかのような印象を持たれてはならない。

 長寿化を見据え、現役当時から資産形成を考えるべきだ、というのが報告書の本旨だ。老後の生活設計について冷静に論じたい。

 財源論議から逃げるな

 重要なのは、社会保障制度の総合的な改革論議を深めることだ。将来不安の払拭ふっしょくが欠かせない。

 消費税率の段階的な引き上げを柱とした2012年の社会保障・税一体改革は、団塊の世代が75歳以上になる25年に備えた措置だ。次は、高齢化がピークを迎える40年を見据え、新たな制度設計を考えることが重要である。

 政府は、働く意欲のある高齢者の就業機会を確保し、年金財源の確保につなげる方針だ。健康寿命を延ばし、医療費を抑制する。

 だが、こうした取り組みだけで増大する社会保障費は賄えない。負担増と給付抑制という痛みを伴う改革に向き合うべきだ。

 首相は討論会で、今後10年間は消費税率10%超への引き上げは不要と述べたが、将来を見据えた論議を避けてはならない。

 各党は、年金に限らず、医療、介護を含む社会保障の全体像を示すことが大切だ。政争の具とせず、党派を超えて真摯しんしに協議する環境を整える必要がある。

 抑止力どう維持するか

 討論会では、トランプ米大統領が日米安全保障条約について、米側に負担が偏っていると不満を示したことも議論となった。

 首相は、米国の対日防衛義務と日本の基地提供を挙げ、「双務性は確保している」と述べた。安全保障関連法に基づく米艦防護の実施などで、日米同盟の抑止力は高まっていると強調した。

 枝野氏は、集団的自衛権の限定的な行使を盛り込んだ安保関連法については、憲法違反だとして廃止を唱えている。

 集団的自衛権は、厳格な要件の下でしか行使できない。従来の政府見解と整合性を保っており、違憲との指摘は当たらない。

 衆参両院の憲法審査会の機能不全が続く。首相は憲法を論議する政党と、拒む政党のどちらを選ぶかを参院選で問いたいとする。

 野党は、憲法改正手続きを定める国民投票法改正案の審議を求めたが、与党が拒んだ、と反論している。憲法本体の議論を先送りする理由とは言えない。

 社会や経済の変化に合わせ、最高法規のあり方を積極的に論じる姿勢が求められる。

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671732 0 社説 2019/07/04 05:00:00 2019/07/04 05:00:00

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