科学技術政策 研究力の回復で経済成長を

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 科学技術は、新たな価値やビジネス、市場を生みだす源となる。経済成長のエンジンだ。

 日本は長く「科学技術立国」をうたってきた。近年は国際的な地位の低下が目立つ。日本の研究力をどう回復し、成長につなげるか。参院選を機に議論を深めたい。

 自民党は、科学技術は国力に直結するとし、宇宙産業の規模の倍増などを公約に掲げる。

 軌道上に漂う宇宙ごみを除去する技術の開発で、日本は一歩進んでいる。実用化されれば、大きなビジネスチャンスとなる。日本の存在感も高められるだろう。

 民間でも、意欲的な挑戦が出始めた。衛星から金属球を落として人工の流れ星を作る事業を新興企業が準備している。和歌山県などでは企業主体でロケット打ち上げ場を作る計画が進む。

 大切なのは、新しい試みが離陸できるよう、国が後押しすることだ。米国の事例が参考になる。

 米航空宇宙局(NASA)は、スペースX社にロケット打ち上げを継続的に発注し、宇宙開発の民営化を進めた。スペースXは今や宇宙産業で世界の先頭を走る。

 基礎科学の充実も欠かせない。国民民主党などは科学研究費補助金(科研費)の増額を提案した。科研費は、広く配分されるタイプの資金で、多くの研究者がこれを頼りにしている。

 他方、大学の非効率な体質を改めるため、優秀な研究者に重点的に大型研究費を投じる流れが強まっている。この「選択と集中」が行き過ぎた結果、資金不足で疲弊する研究者が出てきた。研究費のあり方を議論する必要がある。

 基礎研究は、将来どう発展するのかを見極めにくい。日本人ノーベル賞受賞者の多くが「自分の研究が何の役に立つのか、最初はわからなかった」と語る。地味で息の長い基礎研究の価値を評価し、取り組みを支えるべきだ。

 日本では、基礎研究という「種」から、商品や新薬などの「花」を咲かせるまでのリレーがうまくいっていない。

 東京工業大の西森秀稔教授は、1998年に量子コンピューターの基礎理論を発表した。それを2010年に製品化したのはカナダのベンチャー企業だった。画期的な研究が国内で理解されず、国外に流出してしまうのは問題だ。

 政府は今、量子技術を重要分野に位置づける。欧米が作った流行を後追いするのではなく、日本が流行の発信源になるという気概をもって戦略を考えたい。

無断転載禁止
677871 0 社説 2019/07/08 05:00:00 2019/07/08 05:00:00

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