イラン情勢 「核」の揺さぶりは許されぬ

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 米欧など6か国とイランが2015年に結んだ核合意は、イランの核開発の進展を防いできた。合意の崩壊は中東情勢をさらに悪化させる。

 イランは原油禁輸などの制裁の解除を望むのなら、自制し、合意を順守するべきだ。

 イラン政府が、核燃料となるウランの濃縮度を、合意で定められた上限の3・67%から引き上げると表明した。米国との緊張を高める危険な揺さぶりである。

 核合意は、イランが核兵器製造を決断しても、完成までに「1年以上」の時間がかかるように、核関連活動に歯止めをかけた。

 濃縮に使う遠心分離器の数や、低濃縮ウランの国内貯蔵量などを厳しく制限し、国際原子力機関(IAEA)が監視している。

 今回の措置でイランは原発燃料並みの濃縮度4・5%ウランの生産を始めたという。核兵器級のウランは濃縮度90%だ。すぐに核兵器を作れることにはならない。

 だが、濃縮度を高めていけば、核爆弾完成までの期間は「1年以上」から短くなる。核合意の根幹部分が崩れかねない。低濃縮ウランの貯蔵量上限も超過させた。

 イランは、米国が核合意から離脱し、原油禁輸や金融制裁を再発動させたことへの対抗措置だと主張する。「核保有の意図はなく、合意は維持する」と強調するが、国際社会の理解は得られまい。

 イランが瀬戸際戦術に出たのは制裁によって原油輸出が激減し、経済が苦境に陥ったためだ。核合意の維持を目指す英仏独に、制裁を回避して原油取引を行える仕組みの整備を要求している。

 欧州企業は、イランと取引し、制裁によって米国市場から締め出されることを恐れ、この仕組みへの参入を控える。米国とイランの対立が沈静化しない限り、事態を好転させるのは難しいだろう。

 トランプ米大統領は、イランへの追加制裁を検討する考えを示した。オバマ前政権が主導した核合意の「欠陥」を指摘し、離脱した後、緊張は高まる一方だ。

 核合意では、イランの核活動の制限は最長15年にとどまる。弾道ミサイル開発も規制していない。こうした問題は確かにあるが、新たな枠組み作りの戦略を欠いたまま、核合意を崩壊の危機にさらすのは短慮と言わざるを得ない。

 米国と地域大国イランの衝突は中東全体を巻き込んだ紛争に発展する恐れがある。不測の事態に陥らないよう、トランプ政権には、圧力策の落としどころも見極めた慎重な対応が求められる。

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679894 0 社説 2019/07/09 05:00:00 2019/07/09 05:00:00

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