外国人労働者 社会への適応支援が急務だ
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外国人労働者を安定的に受け入れ、社会への適応を促すことが大切だ。企業や自治体の態勢をどう整えるか。議論を深めなければならない。
総務省が今月発表した統計によると、日本人の人口は前年に比べ43万人減った。人口減は10年連続である。少子化の影響で今後も現役世代は先細りしていく。
高齢者や女性の就労機会を増やすとしても、即戦力の外国人に門戸を広げるのはやむを得ない。
改正出入国管理・難民認定法が4月に施行され、外国人就労を拡大する新制度が始まった。新たな在留資格「特定技能」を取得した外国人は20人にとどまっており、当初の想定を大幅に下回る。
技能試験は3業種でしか行われておらず、新制度に関する送り出し国との協定締結も遅れている。準備不足との批判は免れまい。
採用を支援する機関に払う費用や、手続きの煩雑さを負担に感じる企業は少なくない。短期間で転職されるのではないかとの心配もある。政府は制度を点検し、不安解消に努めるべきだ。
自民、公明両党は参院選の公約で、首都圏などに外国人労働者が過度に集中するのを避ける対策や、不法滞在を防ぐための在留管理の徹底を盛り込んだ。
外国人が相対的に賃金の高い都市部に偏在して、地方の人手不足が解消されないとの懸念は強い。地方の求人情報を優先的に外国人に紹介し、暮らしやすさを周知することが求められる。
物足りないのは、外国人が社会に
日本に住む外国人は266万人に上り、総人口の2%を超えた。さらなる増加を見据えて、対策を急がねばならない。
与党だけでなく、立憲民主、国民民主両党も外国人との「共生」を掲げた。対策として、相談窓口の設置や、行政・生活情報の多言語での提供などを挙げているが、踏み込み不足の感は否めない。
とりわけ日本語習得への支援が肝要だ。地域の学習拠点を広げ、日本語教師の質を確保する必要がある。財政的な支援を含め、政府は積極的に関与すべきである。
社会保険への加入やゴミ出しの方法など、日常生活に必要な知識を身に付けさせることが大事だ。日本語が十分理解できない子弟への目配りも欠かせない。
地域と職場に順応することで、外国人は能力を十分に発揮できよう。自治体や企業任せにせず、国が主導して包括的な支援策を着実に実施していくことが重要だ。