アニメ会社放火 理不尽な凶行に憤りを覚える

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 アニメ制作に打ち込んでいた多数の命が奪われた。理不尽で卑劣な犯行に憤りを禁じ得ない。

 京都市にあるアニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが放火され、30人以上が死亡した。負傷者も30人を超える。平成以降の火災で死傷者数が最悪の惨事だ。

 放火したとみられる41歳の男が身柄を確保された。「死ね」と叫んで1階玄関から侵入し、ガソリンをまいて、火をつけた。現場には複数の刃物も残っていた。

 男は、この会社に勤務したことがない。さいたま市に住んでいたとみられ、近隣と騒音トラブルになったこともあるという。凶行の動機は何だったのか。京都府警は解明に努めてもらいたい。

 現場の建物は鉄筋コンクリート造3階建てで、1階から3階まで吹き抜けのらせん階段があった。これを通って、炎や煙が一気に上階まで達した可能性がある。

 犠牲者の大半は一酸化炭素中毒で亡くなったとみられる。3階から屋上への階段で重なるように倒れていた人も多い。屋上へ避難を試みたが、炎と煙が短時間で充満し、逃げ場を失ったのだろう。

 この建物は消防法令上、「事業場」に該当し、スプリンクラーや屋内消火栓の設置義務はない。京都市消防局の立ち入り検査でも法令違反はなかった。

 建物の構造などが被害の拡大に影響を及ぼさなかったか、検証が求められる。同じような建物について、避難経路を再確認し、不測の事態に備える必要もあろう。

 多数の被害者を出す放火事件は後を絶たず、ガソリンも度々悪用されている。従業員がいるガソリンスタンドに専用の携行缶を持参すれば、金属製なら60リットルまで購入できる。今回の男も現場近くで40リットル買ったとみられている。

 警察庁は販売業者に、不審人物が購入しようとした際の通報を求めているが、注意喚起にとどまる。購入者の身元を確認する法的な義務もない。ガソリンが凶器になりうることを踏まえれば、身元や使途を確かめるべきではないか。

 京都アニメーションは「涼宮ハルヒの憂鬱」「けいおん!」などのヒット作を連発し、「京アニ」の愛称で親しまれる。質の高い作画と演出は業界トップクラスとされ、海外でも人気は高い。

 制作会社が東京に集中するなかで、地方のけん引役となり、日本アニメのブランド力を象徴する存在だった。ファンの衝撃は大きく、アニメ界には多大な損失だ。事件を乗り越え、再起してほしい。

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699705 0 社説 2019/07/20 05:00:00 2019/07/20 05:00:00

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