[参院選]与党改選過半数 安定基盤を政策遂行に生かせ
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◆超党派で社会保障を論じたい◆
安定した政治基盤の下で内外の難題に正面から取り組み、結果を出してほしい。そうした民意が示されたと言えよう。
第25回参院選は、自民と公明の与党が、非改選の議席と合わせて、参院の過半数を確保した。今回の改選に限っても、半数を超えた。
自民党は、カギを握る32の「1人区」で勝ち越した。複数区でも堅調で、北海道などで2人が当選を果たした。公明党は、複数区に擁立した7人全員が当選した。
◆長期政権の実績を信任◆
デフレから完全に脱却していないとはいえ、景気は緩やかに回復し、企業の業績や雇用は堅調だ。積極的な首脳外交により、日米同盟を強化し、対中関係を改善基調に乗せた。安倍内閣の6年半余りの実績が評価されたのだろう。
安倍首相は大勢判明後、NHKの番組で「しっかりと期待に応えていきたい」と語った。
首相は、政権運営の求心力を保つことができた。自民党総裁の任期は2021年9月までである。残る期間を無為に過ごすことは許されない。
難しい政策課題について
与党の勝利で、10月から消費税率を10%に引き上げる方針は改めて信任された形だ。消費の落ち込みを防ぐ対策に万全を期さねばならない。軽減税率やポイント還元制度などの周知を図り、混乱を招かないようにする必要がある。
◆野党は流動化の可能性◆
立憲民主党など野党4党は、1人区で候補者を一本化して臨んだが、共闘の効果は限定的だった。安全保障など基本政策で隔たりの大きい共産党と手を組み、「野合」との批判を
旧民主党の流れをくむ政党は明暗を分けた。立民党は比例選で議席を伸ばしたが、国民民主党は振るわなかった。「1強自民」に対抗するため、野党勢力の流動化が進む可能性があろう。
選挙区選の投票率が50%を下回る見通しとなっているのは、残念だ。投票率向上に向けて、知恵を絞らねばならない。
巨大与党と、「多弱」と呼ばれる野党の対決で、盛り上がりに欠けたのは事実だろう。だが、日本が直面する課題を考えれば、1票を投じる意味は重い。
何よりも先送りしてはならないのは、社会保障制度の改革だ。
人口減と高齢化は急ピッチで進む。従来の延長線上の政策を進めていては、いずれ行き詰まる。
高齢者人口がピークに達する40年代を見据え、医療、介護、年金の見直しを検討する必要がある。社会保障の持続性を高めるため、給付を抑え、負担を増やす制度改正は避けられない。消費税の再増税も視野に入れねばなるまい。
安倍首相は、今後10年間は10%超への引き上げは不要との考えを示しているが、議論まで封印すべきではないだろう。
段階的な消費増税を決めた12年の社会保障・税一体改革は、民主党政権に野党の自公両党が協力して実現した。社会保障制度改革を政争の具とすべきではない。与野党は党派を超え、国民的な議論を始めてもらいたい。
国会での憲法論議を活性化させることも急務だ。立民党は公約に「憲法議論を進める」と明記し、国民民主党も「未来志向の憲法を議論する」と掲げた。言葉だけに終わらせてはならない。
憲法改正には、衆参各院の3分の2以上で発議した後、国民投票で過半数の賛成を得るという高いハードルがある。できるだけ多くの政党が合意し、改正案をとりまとめることが望ましい。
◆憲法論議の活性化を◆
自民党には、野党の主張にも耳を傾けて、丁寧に議論を進める姿勢が求められる。
参院選挙制度が改正され、自民党は、比例選の特定枠を活用した。合区で出馬できない議員を救済する狙いがあった。小手先の改革によって、比例選の仕組みが複雑になったのは問題だ。
衆院を抑制、補完するという参院の役割をどう考え、衆参両院の選挙制度を構築するか。憲法改正の選択肢も排除せず、与野党は議論を急ぐべきである。
衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」の下、決められない政治が続いたことを忘れてはなるまい。衆院での再可決の要件を3分の2から過半数に緩和する改革など、「強すぎる参院」の是正にも取り組まなければならない。













