認知症行方不明 地域で見守る態勢を整えたい

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 認知症の人が道に迷っても帰宅できる。行方不明になっても早期に発見される。地域の見守り態勢を充実させ、そんな社会を目指したい。

 警察に届け出があった認知症の行方不明者が昨年1万6927人に上り、過去最多になった。前年より1000人以上も増え、70歳以上が9割を占める。

 昨年中に所在が確認された人の多くは1週間以内に無事に見つかった。だが、路上で衰弱したり、水路に転落したりして死亡していた人も500人を超えた。

 認知症の人は増え続ける。行方不明になるリスクは高まるだけに、対策は急務である。認知症の人が出歩くのは自然なことだ。閉じ込めるのではなく、外出を前提にした手立てを考えたい。

 全地球測位システム(GPS)機能のついた携帯電話を、本人に持ち歩いてもらう。靴やつえに端末をつける。まずは、家族がこうした自衛策を講じる必要がある。

 一人暮らしの高齢者が急増する中、認知症になる人も少なくない。介護スタッフや地域の民生委員らの目配りが欠かせない。

 認知症の人は、自分の名前や住所を言えない可能性もある。困ったり、道に迷ったりしている高齢者を見かけたら、周囲の人が積極的に声をかけたい。

 認知症の特徴を理解し、手助けできる「認知症サポーター」が全国各地で養成されている。こうした人材を増やすのが有効だ。

 自治体や警察の役割も重要になる。福岡県大牟田市や東京都文京区など多くの自治体で、行方不明の届け出があった場合、地域住民に一斉メールで配信し、目撃情報の提供を呼びかけている。

 群馬県警は、認知症高齢者の顔写真や手のひら静脈の情報を事前に登録するシステムを導入した。登録者数は1100人を超え、行方不明者が保護された時の身元特定に活用している。

 認知症の人が電車などを乗り継ぎ、広域で移動してしまうケースもあり得る。警察や自治体は、組織や管轄地域の枠を超えて連携し、対応しなければならない。

 徘徊はいかい中に列車事故に遭った男性の家族が、鉄道会社から列車の遅れに対する高額の賠償を求められた事案が社会問題化した。

 認知症を巡る新たなリスクに備えるため、ここ数年、事故の損害賠償を保険でカバーする制度を設ける自治体も出始めている。

 認知症の人や介護する家族が安心して暮らせるよう、安全網を構築することが大切だ。

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709083 0 社説 2019/07/26 05:00:00 2019/07/26 05:00:00

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