中国国防白書 「防御」目的を超えた軍拡だ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 東・南シナ海や西太平洋で軍事的な影響力を拡大し、米軍の排除を目指す。中国の習近平政権の強軍戦略は、地域の安定を脅かすだけだ。

 米中対立が貿易だけでなく安全保障分野にも及ぶ中、中国が4年ぶりに国防白書を発表した。米国に対抗する必要性を強調し、急ピッチの軍備増強を正当化しているのが特徴である。

 トランプ米政権が軍事費を大幅に増やすなどして「世界の安定を損ねている」と批判し、アジア太平洋地域で米国が同盟を強化していることへの警戒感を示した。

 南シナ海の人工島や、沖縄県・尖閣諸島は「中国固有の領土だ」と主張し、台湾の統一のためには「武力の使用を放棄しない」と脅しをかけた。

 中国の国防政策は、こうした権益を守るための「防御的」なものであり、「覇権は永遠にとなえない」という。言葉通りに受け止めるわけにはいかない。

 習政権は、今世紀半ばまでに「世界一流の軍」を築くという目標を掲げている。軍拡と威圧的な振る舞いによって地域に緊張をもたらしているのは中国自身であることを自覚すべきだ。

 白書は最新装備として、米軍基地があるグアムを射程に収める中距離弾道ミサイル「DF(東風)26」や、国産最新鋭ステルス戦闘機「J(殲)20」、高性能レーダーを備えるミサイル駆逐艦「052D型」の配備を明記した。

 制空権と制海権が及ぶ範囲を、中国周辺にとどまらず、西太平洋にかけて拡張し、米軍の接近や進入を封じる意図は明白だ。

 中国軍は今月1日、中国本土から「DF21D」とみられる対艦弾道ミサイル6発を発射し、南シナ海に着弾させた。中国本土からの攻撃能力を誇示することで、南シナ海で「航行の自由作戦」を行う米軍を威嚇したのではないか。

 海上交通路(シーレーン)の安全は、日本を含む各国共通の利益である。南シナ海の自由な往来を妨げ、緊張を高める危険な行為は断じて許されない。

 白書でロシアとの安全保障協力に重点が置かれたことにも注意が必要だ。合同訓練や軍事技術面での連携を強化するとしている。韓国が不法占拠する島根県・竹島周辺で中露が初の合同訓練を行ったのは、その一環だろう。

 中露両国が新たな軍事協力協定を結び、アジア太平洋地域で揺さぶりを強める可能性がある。日本は米国との同盟と抑止力の強化に努めなければならない。

無断転載禁止
709084 0 社説 2019/07/26 05:00:00 2019/07/26 05:00:00

おすすめ記事

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ