警察白書 時代に対応した犯罪対策を

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 国民の生命や財産を守るためには、社会情勢の変化に応じた犯罪対策が欠かせない。

 今年の警察白書は「平成の回顧と展望」との一節を設け、この30年の犯罪状況の分析と今後の課題をまとめた。

 平成の中頃には盗犯が激増し、刑法犯の発生件数が戦後最悪に達した。交通事故の多発や、悪質な飲酒運転も社会問題となった。

 防犯カメラや警報装置の普及により、刑法犯は激減した。昨年のひったくり件数は、ピーク時だった17年前の、27分の1になっている。交通事故死者も、平成初期の3分の1以下に減った。

 防犯対策や飲酒運転撲滅の運動が成果を上げたと言えよう。

 今後の課題として白書が重視したのは、ストーカーや配偶者からの暴力(DV)、児童虐待だ。いずれも、個人の私的領域で起きる犯罪で、表面化しにくい。

 かつて民事不介入を原則とした警察は、埼玉県桶川市のストーカー殺人事件などを契機に、20年前、家族や男女間のトラブルに積極的に対応するようかじを切った。相談件数は増加傾向だが、被害者を救い切れていないのが現状だ。

 女性警察官を配置し、女性が被害を訴えやすい環境を整える。被害者を一時的に避難させる場所を確保する。こうした取り組みを着実に進めてほしい。

 児童虐待の早期発見のため、児童相談所などの関係機関と警察は連携を強化すべきである。

 高水準で続く特殊詐欺被害についても、白書は「予断を許さない状況だ」と言及している。加速する高齢化社会で、お年寄りを被害から守るには、犯行手口を分析し、対策を講じることが大切だ。

 だまされた人の7割は、電話に出た時点で相手を信じ込んでいた。例えば、電話に出る前に、通話内容を録音する旨を相手に伝える機能を使えば、犯人が警戒して詐欺を諦める可能性が高まる。

 「オレオレ詐欺」を見抜いた人の半分は、声の違いで家族ではないと気づいた。日頃から家族が連絡を取っておく必要がある。

 令和の時代は、サイバー犯罪の多発も予想される。白書によると、近年はメールの盗み見などの不正アクセスや、暗号資産(仮想通貨)の不正送信が目立つ。

 インターネット空間の犯罪は、国外サーバーの悪用などで、犯人の特定が難しい。新たなウイルスも絶えず作製される。捜査当局が専門知識を備えた人員を確保・育成し、デジタル情報の解析技術を向上させることが求められる。

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717200 0 社説 2019/07/31 05:00:00 2019/07/31 05:00:00

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