財政試算悪化 成長頼みの甘さが露呈した

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 経済成長頼みの財政再建は危うい。歳出・歳入の改革を着実に進め、健全化への道筋を確かなものにしたい。

 政府が新たな財政試算をまとめた。2025年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げるが、2・3兆円の赤字が残る。1月の前回試算より1・2兆円拡大した。政府は、深刻に受け止めるべきである。

 赤字幅が広がるのは、米中貿易摩擦の影響などで成長率予想が下振れし、税収が減るためだ。政府の19年度の成長率見通しは、物価変動の影響を除く実質で約1・3%から0・9%に修正された。

 日本の財政状況は先進国で最悪だ。国と地方の借金残高は1100兆円に上る。これ以上、将来世代にツケを回してはならない。

 基礎的財政収支は、借金に頼らず政策経費を賄えているかどうかを示す指標だ。黒字化は財政再建への一里塚となる。試算は27年度の達成を見込んでいる。

 問題なのは、想定する成長率の見通しが甘いことである。家計の実感に近い名目成長率が23年度以降、3%を超すとしている。

 18年度は0・5%にとどまる。世界経済の先行きが不透明な中で、バブル期のような高成長を想定するのは無理があろう。

 無論、財政立て直しに経済成長は不可欠だが、実力以上の成長率を前提とするのは禁物だ。

 試算は、名目成長率が1%台のケースの数値も示す。25年度の赤字額は7・2兆円になる。こちらの方が現実的だろう。その場合、黒字化のメドは立たない。

 巨額の赤字解消には、歳出削減も欠かせない。国の予算の3分の1を占める社会保障費の抑制が最大のテーマとなる。

 22年からは、団塊世代が後期高齢者になり始め、医療や介護の費用は一段とかさむ。給付と負担の見直しが急務である。

 医療費の窓口負担の増加など高齢者に理解を求めることが課題となろう。政府は改革の重要性を丁寧に説明しなければならない。

 歳入も増やしたい。安倍首相は参院選の際、今後10年程度は消費税率を10%から上げる必要がないと発言した。しかし、赤字予想が拡大する中で楽観論は戒めるべきだ。10%後の税率引き上げについても論議は避けて通れない。

 政府はすでに3度、黒字化の目標年次を先送りしている。25年度の目標を達成できなければ、国民の将来不安はさらに高まろう。安定政権の今こそ、財政再建に本腰を入れる時ではないか。

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718954 0 社説 2019/08/01 05:00:00 2019/08/01 05:00:00

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