最低賃金アップ 中小企業の支援が欠かせない

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 最低賃金(時給)の引き上げが決まった。実現に向けた環境をどう整えるかが課題である。

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は2019年度の引き上げの目安を全国平均で27円とした。上昇率は4年連続で3%となる。「毎年3%程度引き上げる」という政府目標を踏まえたものだ。

 各都道府県で目安通りに引き上げられれば、最低賃金の全国平均額は901円となり、東京都と神奈川県では1000円台に初めて達する。すべての労働者に適用される最低賃金が着実に上昇していることは、評価できる。

 賃金水準の底上げは、働く人の消費を喚起し、経済再生につながる。女性や高齢者の就労意欲を引き出す効果もあるだろう。

 懸念されるのは、急ピッチの賃金引き上げが中小企業の経営にもたらす影響である。

 日本商工会議所が今春中小企業に行った調査では、30円引き上げる場合、約6割が経営に影響があると答えた。人員削減や廃業を考えざるを得ないという声も、商工会議所に寄せられている。

 企業が生産性を向上させて、売り上げを拡大できれば、従業員の賃金を上げる余裕も生まれる。ただ、中小企業の中には、設備投資に回す資金に乏しいところも少なくない。こうした企業への支援がカギを握る。

 厚労省は、賃金を一定以上引き上げた中小企業を対象に、設備投資などの費用の一部を助成する仕組みを設けている。

 青森県の小売業は、この助成金で商品に貼り付けるラベルの作成作業を機械化し、従業員の時給を40円上げた。新潟県の食品製造業は、ベルトコンベヤーを導入して弁当の盛り付け作業を効率化し、30円の賃金アップにつなげた。

 こうした支援メニューの充実や企業が相談できる窓口を増やすことが重要だ。きめ細かな対応で企業の賃上げを後押ししたい。

 最低賃金額の地域間格差が解消されていないことも気がかりだ。トップの東京都と最も低い鹿児島県の差は226円で、10年前の1・4倍に広がっている。

 格差をこのまま放置しておくと、若者や外国人労働者がより高い賃金を求めて地方から都会に流れてしまうとの心配もある。

 地方では、働く側からさらなる引き上げの要望も出ているが、対応できる企業は多くない。都道府県ごとの最低賃金を決める審議会は、地域の物価水準や経済状況を踏まえて最終判断してほしい。

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727357 0 社説 2019/08/06 05:00:00 2019/08/06 05:00:00

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