保釈後逃走検証 検察の再発防止策は心許ない

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 保釈後に実刑が確定した被告の収容に、組織として対応できていなかったということだろう。

 刑務所への収容を逃れようとした男が、神奈川県内の自宅から刃物を持って逃走した事件について、検察が検証報告書をまとめた。

 度重なる出頭要請に応じず、抵抗が予想されたのに、横浜地検は人員配置を十分検討せず、警察との打ち合わせもしなかった。逃走の報告を受けながら、公表については「警察が判断する」と思い込み、地元への連絡が遅れた。

 検察の対策が不足し、危機意識も欠如していたと、報告書が総括したのは当然だ。

 最高検は再発防止策として、収容業務に関するマニュアルや装備品の整備、自治体との連絡体制の構築などを挙げた。いずれも、既に取り組んでおくべき基本的な内容だ。これだけで本当に再発を防げるのか、心もとない。

 逃走事件が起きた背景には、保釈が増えている実態がある。

 今回の男のように、1審で実刑判決を受けながら、2審判決までに保釈されているケースは、2013年の546人から、昨年は1109人と2倍以上になった。殺人や強盗致傷などの重大事件の被告も含まれている。

 1審で実刑となった被告が控訴後に保釈されれば、逃走のリスクが高まるとの見方がある。1審と違い、2審は被告に出廷義務がなく、判決期日に姿を見せないまま、逃走する事態も想定される。

 一度実刑判決を受けた被告の保釈について、裁判所は妥当性や条件をより丁寧に判断すべきだろう。2審の判決期日に被告の出廷を義務付け、実刑の場合はその場で収容できるようにすることも検討していいのではないか。

 収容までの期間が長くかかりすぎていることも問題だ。控訴審判決で実刑が確定してから、収容されるまでに3か月以上を要したのは昨年、60人だった。海外逃亡などで一時的に行方不明になっていた元被告も少なくない。

 判決確定からの期間が長くなるほど、反省が薄れ、収容のハードルが上がる。検察は、迅速な身柄の確保を心がけねばならない。

 受刑者らを対象とする刑法の逃走罪が、保釈中の被告に適用されないといった法の不備もある。

 米国やカナダの一部の州では、保釈の条件として、全地球測位システム(GPS)端末の装着を義務付けることがある。逃走防止のため、海外の事例も参考に実効性のある手立てを検討したい。

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730924 0 社説 2019/08/08 05:00:00 2019/08/08 05:00:00

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