ウイグル族弾圧 中国は人権侵害を即時やめよ

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 信教の自由を認めず、少数民族の独自の文化を弾圧する。中国政府の措置は人権侵害だと断じざるを得ない。

 中国西部・新疆ウイグル自治区で暮らす少数民族ウイグル族の人権状況に、国際社会の懸念が高まっている。

 ペンス米副大統領は、ウイグル族を中心に100万人以上が中国政府の強制収容施設に送られ、思想改造を受けていると指摘した。約1000万人のウイグル族の10人に1人が自由を奪われている計算となる。異常な事態だ。

 米国務省は3月の報告書で、虐待や拷問、殺人が施設内で行われている可能性に言及した。狭い部屋に詰め込まれ、中国語以外を話すことを禁じられ、中国共産党をたたえる歌を歌わされた、と証言する元収容者もいる。

 ポンペオ米国務長官は、「現代における最悪の人権危機だ」と述べた。誇張とは言えまい。

 ウイグル族はイスラム教を信仰し、ウイグル語を話す。進学や就職で差別を受け、多数派の漢族との間で衝突を繰り返してきた。2009年には大規模暴動が起き、多数の犠牲者が出た。

 中国政府は、暴動には中国からの分離・独立をめざす勢力が関与していたと主張する。テロを未然に防ぐとの名目でウイグル族への監視を強め、中国語教育などの「漢族化」を正当化してきた。

 収容施設については「職業技能教育訓練センター」と称し、イスラム過激思想の影響を受けた人々の再教育や職業訓練が目的だと説明する。米国などの非難は「内政干渉だ」と反発している。

 中国の言い分をうのみにするわけにはいかない。現地で取材を試みる海外メディアには常時、中国当局の監視や尾行がつく。ウイグル族との会話に割り込み、取材を受けないよう圧力を加える。

 中国にとって都合の悪い情報が流出するのを防ごうとしているのは明らかだ。中国当局が選んだ施設を限定的に公開するだけでは、国際的な批判は払拭ふっしょくできない。

 日英など22か国は、ウイグル族の状況に懸念を示す共同書簡を国連人権理事会に送った。一方、ロシアやミャンマーなど50か国は中国支持を表明した。国連を通じた状況改善は困難だろう。

 懸念されるのは、中国の影響力拡大に伴い、宗教弾圧をいとわない中国式の統治手法が各国に広がっていくことだ。人権や法の支配など普遍的な価値観を共有する国々が連携し、中国に改善を働きかけることが欠かせない。

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736982 0 社説 2019/08/12 05:00:00 2019/08/12 05:00:00

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