リクナビ問題 個人情報の扱いが粗雑すぎる

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 個人情報保護の重要性に対する認識を欠き、就職活動中の学生の信頼を失いかねない行為だ。

 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、サイトに登録した学生の「内定辞退率」を人工知能(AI)で予測し、38社に販売していた。

 学生優位の売り手市場が続く。内定を出した学生が辞退するかどうかが企業の関心事だ。こうした需要を受けたビジネスだった。

 問題は、個人情報の取り扱いが粗雑だったことだ。

 契約企業が提供した前年の選考学生のデータをAIで分析し、傾向を把握した。その上で、就活中の学生が志望する企業や他社情報をどのように閲覧しているかを調べ、辞退する確率を5段階で判定し、企業に伝えていた。

 個人情報保護法は、本人の同意なしに個人情報を第三者に提供することを禁じている。

 リクナビは規約に「採用活動補助のため」に利用企業に情報提供することがあると記載し、同意を得たと主張する。だが、この記述で辞退予測が企業に渡ると学生が認識するのは難しいだろう。

 約8000人からはこの同意すら得ておらず、個人情報保護法違反の状態だった。学生から「信頼を裏切られた」との声が出ている。リクルートキャリアが辞退予測の販売を廃止したのは当然だ。

 同社は、データを「選考に利用しないと企業に約束させていた」と言うが、理解は得られまい。

 辞退予測を販売した学生の総数や契約企業も公表していない。こういう事態を招いた経緯や原因を説明することが欠かせない。

 就活サイトは今や、学生と企業を結ぶ基本的インフラといえる。年間約80万人が登録するリクナビは、業界を主導する立場にある。責任の重さを自覚すべきだ。

 技術の進歩で、収集したデータを生かしたビジネスが可能となった。データの取り扱いには、より高い倫理性が求められる。

 採用に関わる個人データを提供した企業の対応も問われよう。

 雇用管理のあり方などを定める職業安定法の指針は、個人情報の適切な扱いを定めている。東京労働局はリクルートキャリアの調査を始めた。契約企業についても調べる見通しだ。

 データ社会では、個人の嗜好しこうや行動パターンなどが多様に分析され、活用される。利便性の高いサイトを利用するに当たっては、自らの情報がどう使われるかを確認することが大切である。

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739293 0 社説 2019/08/14 05:00:00 2019/08/14 05:00:00

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