AI兵器の規制 攻撃判断を委ねるべきでない

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 人間の意思が介在しない状態で、人工知能(AI)が自律的に判断し、敵を殺害する。そんな兵器システムが実用化されれば、戦闘の形態が一変しかねない。

 技術の急速な進展に伴う予想外の事態をいかに防ぐか。各国が議論を深め、現実的な規制に向けて歩み寄ることが重要である。

 AI兵器は、AIが戦闘区域の状況など膨大な情報を処理しながら作動する。自動運転車と同様に人為的な操作ミスを減らす効果や省力化、省人化が、安全保障上の利点として指摘されている。

 問題となっているのは「自律型致死兵器システム(LAWS)」だ。人間の命令なしに、AIが自ら標的を選択し、殺害する。

 人間が遠隔操作するドローンなどの無人兵器とは異なり、攻撃の責任の所在が不明確になりかねない。人間が戦闘を管理できなくなる可能性が懸念される。

 そもそもAIに生殺与奪の権利を握らせるべきでない、という主張もある。国際人道法や倫理面でLAWSが多くの問題点をはらんでいるのは明白である。

 スイス・ジュネーブで開かれた各国政府代表や専門家による会合は、LAWS規制に関するこれまでの議論を報告書にまとめた。

 「国際人道法などの国際法を守らねばならない」とし、LAWSの使用に人間の判断を介在させる必要性を強調している。

 文書に法的拘束力はないが、重視すべき原則を各国が共有した点では一歩前進だと言えよう。

 オーストリアやブラジル、途上国グループは軍縮推進の立場から、LAWS禁止条約を求める。一方、AI兵器の開発で先行する米国やロシアは、禁止や規制には慎重で、溝が生じている。

 今回の報告書を土台にLAWSの開発や運用で実効性のあるルールを作れるかが課題となる。

 例えば、規制の対象を、人間を直接殺害するよう設計された兵器システムに限る。攻撃の際、司令官の許可を得るプログラムを組み込むことで、「決断する人間の介在」を担保する。こうした具体案の議論を深める必要がある。

 米露をルール作りに引き込み、AI兵器の透明性や各国間の信頼を高めることが大切だ。一方で、民間のAI技術の研究・開発が、軍事転用の可能性を理由に規制されることは防がねばならない。

 日本は、完全自律型のLAWSは開発しないとの立場をとる。建設的な議論を主導する役割を果たしてもらいたい。

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757709 0 社説 2019/08/23 05:00:00 2019/08/23 05:00:00

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