パラ開幕1年 共生社会づくりは進んだか

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 東京パラリンピックの開幕まで1年となった。日本の障害者政策に世界の注目が集まる。共生社会づくりは、どこまで進んでいるだろうか。

 公共交通機関では、JR千駄ヶ谷駅など都内の競技場周辺の駅を中心に、改札の拡張やエレベーターの増設が行われている。国土交通省によると、全国の一定規模以上の駅の9割で、ホームまで段差のないルートが確保された。

 宿泊施設でも、車いすに対応できる客室が整備されつつある。東京都はバリアフリー改修費用の補助を手厚くしたほか、9月から一般客室を車いすの利用が可能な仕様とすることを義務付ける。

 開幕までに、必要な工事を着実に進めなければならない。

 一方で、障害者の目線に立った配慮は十分とは言い難い。

 例えば、駅から競技会場までの道について、「点字ブロックがとぎれる」「段差や傾斜が多い」との指摘がある。どこにバリアフリー施設があるのかという情報を収集するのも簡単ではない。

 こうした時に助けになるのが、ボランティアだろう。都は3万人を育成する計画で、10月から研修が始まる。会場までの道案内や車いすの押し方を学んでもらう。ハード面に加え、ソフト面の対策を充実させることが大切だ。

 政府は2017年、大会を障害者との共生社会の実現に向けた貴重な機会ととらえ、行動計画を策定した。その柱の一つに「心のバリアフリー」がある。知らず知らずのうちに障害者を区別する意識を変えていく取り組みだ。

 NPO法人「障害平等研修フォーラム」(東京)は各地で、障害者が進行役となったグループ学習を重ねる。一般の参加者と「障害とは何か」について話し合い、問題意識の共有に努めている。

 兵庫県明石市では、点字メニューや筆談ボードを備えている飲食店が多い。障害者と接する機会が増えたことで、「障害の有無にかかわらず、一人のお客さんとして対応できるようになった」といった声も寄せられている。

 このような試みを通じて、すべての人が尊重し合う気持ちを、社会に浸透させる必要がある。

 7月の参院選で重い障害のある候補者が当選し、国会で急きょ、大型車いすで議場に着席できるよう改修工事が行われた。これまで重度障害者の登院を想定してこなかったことの表れとも言える。

 身の回りで障害者が不便を感じていることはないか。あと1年、改めて点検する機会としたい。

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764496 0 社説 2019/08/27 05:00:00 2019/08/27 02:47:23

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