国家公務員離れ 有為な人材確保へ対策を急げ

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 キャリアと呼ばれる国家公務員を志す学生の減少が止まらない。原因を分析し、多角的な対策を講じるべきである。

 今春の総合職試験への申込者は約1万7000人にとどまり、前年度より1割減った。前身のI種試験ではピーク時に約4万5000人の応募があった。公務員離れは深刻だ。

 最近の好況を反映し、採用意欲の高い民間企業に学生が流れている側面はあるが、中期的な要因にも目を向ける必要がある。

 官僚組織は戦後の経済成長をリードしたが、1990年代以降は汚職や不祥事が相次いだ。国民の視線は厳しい。多くの学生は、公務員に将来のやりがいを見いだせないと感じているのだろう。

 内政や外交・安全保障の課題が山積する中で、時代に即した政策を推進する重要性は増している。実務を担う有為な人材を確保することは国益に直結する。

 大切なのは労働条件を改善し、仕事の魅力を高めることだ。

 人事院は、今年度の月給を0・09%、ボーナスを0・05か月分引き上げるよう勧告した。月給の引き上げは30歳代半ばまでの若年層を対象としたのが特徴だ。

 民間企業との人材獲得競争が激しくなっていることを踏まえた。公務員の総人件費には制約があり、若い世代に限って手厚く配分するのはやむを得ない。

 長時間労働の是正も欠かせない。中央省庁の残業時間は平均で年350時間を超え、法律で定められた上限に近い。省庁の縦割りを越えて多忙な部署に人員を増やすなど、柔軟に対応すべきだ。

 国会議員の質問通告が遅いため、官僚は深夜まで答弁の作成に追われている。野党の過大な資料要求への対応も強いられている。与野党は、旧態依然とした慣行を改めなければならない。

 平成の時代を通じて、首相官邸の機能強化や副大臣の創設など、政治主導の制度作りが進んだ。官僚の裁量が狭まり、士気の低下を招いたとの指摘がある。

 官僚の本分は、専門的な知識や分析力を生かして政策を提案し、適切に遂行することである。政治家は官僚の専門性を尊重し、政策立案過程において、その知見を活用することが重要だ。

 民間との人事交流の拡大は、官僚組織の活性化につながる。官民人事交流法に基づく民間からの受け入れは昨年末時点で500人に上るが、国からの派遣は80人にすぎない。外部で経験を積んだ人材を生かす仕組みが求められる。

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768190 0 社説 2019/08/29 05:00:00 2019/08/29 05:00:00

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