安倍再改造内閣 総仕上げへ戦略的に挑め

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 ◆全世代型社会保障の土台作りを◆

 長期政権の総仕上げを視野に入れた布陣だ。安倍首相には、社会保障制度の改革や憲法改正など日本の針路に関わる課題に向き合い、解決の道筋をつけてもらいたい。

 第4次安倍再改造内閣が発足した。昨年10月以来の内閣改造・自民党役員人事である。首相は記者会見で「これまでの発想にとらわれない大胆な改革に取り組む。安定と挑戦の内閣だ」と述べた。

 内閣の要である麻生副総理兼財務相と菅官房長官を再任し、党では二階幹事長を留任させた。一方で、内閣の顔ぶれは大幅に入れ替え、13人を初入閣させた。

 ◆「ポスト安倍」を要所に

 安定感を保ちつつ、刷新をアピールする狙いだろう。派閥の意向にも配慮した。党総裁任期が残り2年となり、求心力を維持するため、挙党態勢を固め直そうとする意図がうかがえる。

 首相は、自らに近い議員を数多く登用した。各閣僚が政策を的確に遂行するよう、首相は指導力を発揮しなければならない。

 「ポスト安倍」を競う候補を、党や内閣の要所に引き続き置いた。自民党岸田派を率いる岸田政調会長を留任させたほか、竹下派の実力者である茂木経済再生相は、外相に横滑りさせた。

 菅氏は、党内の無派閥議員を中心に支持を広げる。衆院当選4回ながら、環境相に起用された小泉進次郎氏は国民的人気が高い。

 首相は、11月には通算の在職日数が桂太郎氏を超え、歴代最長の首相となる。内外の課題に着実に対処してきたことが、国政選挙での連勝につながっている。

 首相の存在感が際立つ中で、総じて後継候補の影は薄い。新たな体制の下で頭角を現すことができるのか。正念場となろう。

 自民党一党支配が続いた「55年体制」下では、派閥の領袖りょうしゅうが「数の力」を頼りに、首相の座を巡って争った。激しい権力闘争は、金権政治を招いた反面、党の活力を生むことにもつながった。

 首相候補は、それぞれの立場で政策を立案し、実行する力を競い合うことが求められる。

 安倍政権は終盤に差し掛かっている。今後、自らの手で何を成し遂げ、どのような路線を敷いて次の政権に委ねるのか。中長期的な視点から優先順位を見極め、戦略的に取り組まねばならない。

 ◆経済の好循環作りたい

 再改造内閣がまず重視すべきは、経済政策である。

 企業収益や雇用指標は改善したが、景気回復の実感は乏しい。賃上げを消費につなげていく経済の好循環を実現する必要がある。

 米中貿易摩擦の激化は、日本経済の先行きに影を落としている。政府は経済動向を注視し、臨機応変に対処することが大切だ。

 来月1日には、消費税率が10%となる。社会保障制度を維持するための安定財源であり、混乱なく実施しなければならない。

 日本は他国に先駆け、超高齢化社会を迎える。多くの人ができるだけ長く働き、社会保障の支え手に回る環境を整える。若い世代の子育てを支援し、少子化に歯止めをかける。首相が掲げる全世代型社会保障の構築が肝要だ。

 制度を維持していくために、余力のある高齢者に負担増を求めるのは、やむを得まい。

 首相は制度改正に向けて、新たな会議の設置を表明した。丁寧に論議し、痛みを伴う改革への理解を広げる努力が欠かせない。

 野党も、社会保障制度改革の必要性について異論はないだろう。政争の具とせず、与野党の垣根を越えて議論を深めるべきだ。

 自国第一主義を掲げるトランプ米大統領をいかに説得し、国際協調体制を取り戻すか。安倍外交の真価が試されている。

 ◆憲法論議の環境整えよ

 東アジアの安全保障環境は警戒を怠れない。北朝鮮は弾道ミサイルの開発を進める。中国、ロシアも軍備の拡張に余念がない。

 韓国との関係は元徴用工の問題などで悪化している。日韓の対立が日米韓の安全保障協力に支障を来さないよう、注意すべきだ。

 衆参両院の憲法審査会は、与野党の対立で建設的な議論ができない状態が続く。国の最高法規について不断に論じるという役割をないがしろにしてはならない。

 首相は、任期中の憲法改正を目指している。憲法改正の発議には、与党間の協議や、野党との合意形成など多くの段階を経る必要がある。自民党は、論議の環境を整えることが重要だ。

 立憲民主党などは、安倍政権下では憲法論議に応じないという姿勢を改めるべきである。

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790723 0 社説 2019/09/12 05:00:00 2019/09/12 05:00:00

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