偽動画の拡大 情報操作に踊らされぬ対策を

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 インターネット上で人工知能(AI)を悪用した偽の動画が広がりつつある。情報の発信源は確かか。内容は信頼できるのか。日頃から意識して利用することが大切だ。

 米下院のナンシー・ペロシ議長が酒に酔った様子で講演する動画が5月、ネット上で広がった。映像の速度を遅くしたもので投稿者は不明だ。中傷目的とみられ、300万回以上視聴された。

 静止画の偽造や活字による偽情報は以前からあった。近年、AIの学習機能を使い、別人の口元や表情の動きを、著名人の顔に合成することが可能になった。人工音声をつけ、実在の人物が偽のセリフを語る映像ができる。

 AIのディープラーニング(深層学習)と、フェイク(偽)を合わせた造語として、「ディープフェイク」と呼ばれる。

 懸念されるのは、この技術が悪用され、社会の混乱を狙った情報操作が行われることである。

 2016年の米大統領選では、候補者を攻撃する偽情報がネット上に流布し、ロシアの関与が指摘された。20年大統領選では、偽動画を駆使し、より巧妙な介入が行われる恐れがある。

 公正な選挙という民主主義の土台を揺るがす事態であり、対策が急務となっている。

 専門家は、軍事情報に標的が広がれば、国の安全保障が脅かされかねないと警鐘を鳴らす。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には、次々と短い動画が投稿される。同じ意見の人の間で共有され、瞬く間に広がる。ネット空間の特性が偽動画の危険性を高めている。

 日本でも、情報操作への懸念が強まりつつある。

 7月の参院選では、「国会議員の給与が引き上げられる」といった偽の書き込みが広まった。

 13年以降、国政選と地方選でネットを使った選挙運動が解禁された。今回の参院選では、SNSに映像を投稿する事例も増えている。政治的思惑を持った誘導には、警戒を怠れない。

 放送局は外部から、事故現場などの映像の提供を受けている。類似した過去の映像を放映し、謝罪に追い込まれた例もある。

 総務省の有識者会議は5月、偽情報対策の検討を本格化させた。各国を参考に、実効性のある方策をまとめねばならない。

 ネットは情報入手や他の人とつながる手段として、欠かせない基盤だ。情報を正しく読み解き、利用することを心がけたい。

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796263 0 社説 2019/09/15 05:00:00 2019/09/15 05:00:00

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