ローマ字表記 「姓―名」への転換進めるには

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 日本人の名前のローマ字表記について、国の文書では、姓を先、名を後にする順番を原則とすることになった。日本社会で浸透するだろうか。

 対象となるのは、各省庁の公式ホームページや外国語で発信する白書などだ。柴山昌彦・前文部科学相は「文化の多様性を尊重する立場から、日本の伝統に則した表記にしていくことに意義がある」と理由を説明している。

 この時期に「姓―名」表記へ統一を図るのは、来年の東京五輪・パラリンピックで日本人の名前が世界に注目される機会を捉えたいという狙いがあるからだろう。

 日本人の名前のローマ字表記が、長く「名―姓」の順になっているのは、明治の欧化主義がもたらした慣習だ。欧米の人名の形式に合わせた経緯がある。

 2000年に当時の国語審議会が、姓―名表記の推奨を答申し、政府は教育機関などに趣旨に沿った対応を求めていた。中学校の英語教科書では、日本人の名前の言い方が姓―名順になった。

 ただ、社会で十分定着しているとは言い難い。読売新聞の今夏の世論調査では、名―姓の順に書く人が64%で、姓―名と表記する人(31%)を大きく上回っていた。名―姓が、深く根を下ろしていることがうかがえる。

 一方、姓―名の順を推奨する政府の方針に賛成する人は59%、反対の人は27%だった。反対する人の中には「名―姓が国際基準だから」との意見が目立つ。

 専門家は、名―姓の順が国際基準というのは思い込みだと指摘する。実際、中国や韓国は、日本と同じ姓―名の順で、英字表記も同様だ。ベトナム、ハンガリーなどにも姓を先にする文化がある。

 本来、どう名乗るかは個人の選択に委ねられる部分が大きい。日本において、姓―名のローマ字表記の普及を目指すのであれば、国民に対する正確な情報提供と納得できる説明は欠かせない。

 表記の変更に伴って、注意すべき点も少なくない。例えば、航空券を予約する際に、姓と名の入力順を間違えると、搭乗などに支障を来す恐れがある。

 欧米人には、日本人の名前のどちらが姓でどちらが名なのか分かりにくい。姓を全て大文字にするなど、先に書いたのが姓だとわかってもらえるような、表記上の工夫を普及させる必要もある。

 日本と英語圏では住所の書き方など異なる習慣も多い。名前の表記転換を、海外の人に日本の理解を深めてもらう契機としたい。

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798811 0 社説 2019/09/17 05:00:00 2019/09/17 05:00:00

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