米追加利下げ 経済情勢を冷静に見極めよ

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 米国の金融政策は世界経済に大きな影響を及ぼす。不透明感が高まる経済情勢を冷静に見極めていく必要がある。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が、追加利下げを決めた。7月と同様に政策金利の誘導目標を0・25%引き下げた。

 パウエルFRB議長は記者会見で、設備投資と輸出の弱さを指摘し、貿易摩擦が企業活動の重しになっているとの認識を示した。

 8月以降、米中対立はより深刻化し、英国の欧州連合(EU)離脱問題は予断を許さない。イランを巡る地政学リスクも増す。世界経済の先行きへの危機感が利下げ判断につながったと言える。

 今後の利下げの必要性については意見が分かれる。金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者17人のうち、年内のさらなる利下げを見込んだのは7人にとどまった。

 米国の金利は既に低水準で、企業は資金を調達しやすい環境にある。利下げを続けても効果は薄いとの声が出ても不思議はない。

 行き過ぎた金融緩和は景気を過熱させる恐れもある。より慎重なかじ取りが求められる。

 目に余るのがトランプ米大統領の言動だ。パウエル氏に大幅利下げを執拗しつように迫り、解任をちらつかせる。今回は「また失敗した。ガッツも、センスも、ビジョンもない」とツイッターでののしった。

 FRBが自分の思い通りに動かず、米国の輸出企業に不利となるドル高が是正されないことに不満を募らせているのだろう。

 大統領が「通貨の番人」である中央銀行の信頼をおとしめる。この現状は健全とは言えまい。トランプ氏は姿勢を改めるべきだ。

 一方、日本銀行は追加の金融緩和を見送った。大規模な緩和を続けてきたことから、政策の選択肢は限られる。円高の動きが一服しているため、「次の一手」を温存したのは間違いない。

 重要なのは、適切な時期に有効な手段を講じることである。

 日銀は欧州中央銀行(ECB)と同様に、マイナス金利政策の拡大などを検討している。しかし、金利が一段と低下すれば、金融機関の収益をさらに悪化させる可能性がある。政策の効果と副作用に目配りした運営が欠かせない。

 日銀は、金融政策に関する声明に「より注意が必要な情勢になりつつある」との文言を追加した。景気の減速感が強まれば、速やかに手を打つ決意がうかがえる。

 警戒を怠らず、備えを万全にしておくことが大切だ。

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804614 0 社説 2019/09/20 05:00:00 2019/09/20 05:00:00

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