城の再建 幅広い理解得て地域の誇りに

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 日本のお城の人気は高く、地域のシンボルになっている。その再建や復元は幅広い理解のもとに進めることが大切だ。

 全国各地で城郭を再建する動きが広がっている。築城時の姿になるべく忠実に復元する取り組みも見られる。中でも天守閣は、観光振興の目玉にもなることから、整備を望む声は強い。

 背景の一つには、昭和の築城ブームで建てられた鉄筋コンクリート造の天守閣が50年以上経過し、建て替えや耐久措置が必要な時期を迎えたことがあるだろう。

 物議を醸しているのが、「尾張名古屋は城でもつ」とうたわれる名古屋城である。

 先の大戦で木造の天守閣が焼失し、戦後にコンクリート造で再建された。名古屋市は、いったん取り壊して木造で復元する計画を進めるが、先月、2022年12月完成という目標達成を断念した。

 江戸時代から残る石垣が毀損きそんされる恐れがあるとして城郭の研究者が反発し、文化庁も天守閣の解体を許可していないためだ。

 名古屋城は、徳川家康の命令で加藤清正らが築城に携わった国の特別史跡である。石垣の見事さには定評がある。

 復元のための工事によって、史跡が持つ本来の価値を損なうようでは本末転倒だ。名古屋市はまず、石垣の実態調査や保全対策をしっかり講じるべきだ。

 城の復元を巡っては、エレベーター設置の是非も論点になる。河村たかし・名古屋市長が史実に忠実な再現を目指す観点から、設置しない方針を示したことに対し、障害者団体が反発している。

 築城時に近い姿に復元する意義は大きいが、障害者らに配慮したバリアフリー化は時代の流れでもある。歴史的価値を追求しつつ、多様な人々の要望に応える。接点を探る努力が求められる。

 城の大規模な再建では、熊本城の復旧工事が注目される。16年の熊本地震で、大小の天守閣が損傷したほか、石垣が広範囲に崩れ落ちた。工事完了には今後20年ほどかかると見込まれる。

 来月から工事用通路を利用した特別公開を始め、来春には平日も利用できる見学通路を整備する。「見せる再建」が、訪れた人に震災復興を実感してもらうきっかけになることが期待される。

 熊本城は昔から、市民の心のり所であり、一歩一歩かつての姿を取り戻していることに勇気づけられる人は多い。

 城の再建や復元を通じて、郷土の誇りを育んでいきたい。

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809062 0 社説 2019/09/23 05:00:00 2019/09/23 05:00:00

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