中国と南太平洋 影響力拡大に警戒が必要だ

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 経済援助と引き換えに台湾との断交を迫り、影響力を拡大する。南太平洋での中国の動向には警戒が欠かせない。

 南太平洋の島嶼とうしょ国、ソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立することを決めた。これで、台湾が外交関係を持つ国は世界で15か国だけになった。

 中国が台湾を国際的に孤立させようと、攻勢を強めているのは明らかだ。南太平洋はかつて、中国と台湾が熾烈しれつな援助外交を展開したが、近年は中国が経済力を背景に存在感を増している。

 オーストラリアの調査機関によると、中国は2006年からの10年間で、南太平洋の国々に17億8000万ドル(約1920億円)を援助した。今や豪米両国に次ぐ主要な援助国となった。

 この地域の秩序を主導する米豪に対抗する戦略だろう。

 懸念されるのは、中国の南太平洋への進出によって、地域の緊張が高まる事態だ。

 「海洋強国」を国家目標とする中国は、太平洋やインド洋など遠海へと活動範囲を広げている。国際ルールに反した一方的な海洋進出や、相手国の財政状況を無視した融資が批判されてきた。

 中国の習近平国家主席は南シナ海について「軍事拠点化しない」と約束した。にもかかわらず、岩礁を埋め立てた人工島にレーダーやミサイルを設置し、「航行の自由」を脅かしている。

 インド洋の島国スリランカは中国への債務返済が出来なくなり、南アジア最大級のハンバントタ港の権益を事実上、譲渡した。

 南太平洋で同様の問題が起きないとは言い切れない。島嶼国の多くが中国への経済的な依存度を高めている。バヌアツでは中国が港湾整備を進め、軍事利用するとの見方が出ている。

 南太平洋はアジアと米大陸をつなぐシーレーン(海上交通路)にあたる。米軍がアジア太平洋の戦略拠点として基地を置くハワイやグアムに近い。日米豪などが共有する「自由で開かれたインド太平洋」構想でも大切な地域だ。

 中国が島嶼国を拠点に軍事活動を強化し、地域の安定を揺るがす事態を防ぐため、米豪や日本が南太平洋諸国への関与を強めることが求められる。

 経済援助に加え、安全保障協力が重要である。米豪はパプアニューギニア・マヌス島の海軍基地を拡充し、周辺での軍事演習も強化している。島嶼国の防衛力向上に資する支援を積み重ねたい。

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810194 0 社説 2019/09/24 05:00:00 2019/09/24 05:00:00

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