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国際協調の衰退 トランプ流の拡散を懸念する

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 各国の利害を調整し、安定した世界秩序を維持するには、国際協調が欠かせない。その意義を訴え続け、行き過ぎた「自国第一主義」の蔓延まんえんを防ぐことが大切である。

 「未来はグローバリスト(国際主義者)のものではない。愛国者のものだ」。トランプ米大統領は国連演説でそう強調した。「賢明な指導者は常に、自国民と自分の国を第一にする」とも語った。

 各国の首脳が国益を最優先するのは当然である。だが、テロや気候変動、貧困など、国境を超えた課題は、一国だけで解決できない。自国の利益のみを追求すれば、紛争が広がり、経済的利益も阻害されるのは自明である。

 国連は、2度にわたる大戦の反省から、米国の主導で創設された。世界の平和と安全を維持するため、各国が協調することを基本理念としている。その先頭に立ってきた大国の指導者が、内向きの姿勢に終始したのは残念だ。

 トランプ氏は演説で、国際的な枠組みよりも、各国の主権や独立性が重視されるべきだとの考えを示した。中国やロシアが、国際社会の干渉を拒むのと同じ理屈である。強権政治や人権侵害が放置されることになりかねない。

 トランプ流の政治は、すでに拡散し始めている。ハンガリーやトルコ、ブラジルなどの指導者は、国際主義はエリートが主導する国益軽視の考えだと主張し、支持を集める。ポピュリズム(大衆迎合主義)の要素が色濃い。

 自国第一主義が広がる背景に、多国間の枠組みが機能しにくくなっていることは確かにある。

 関税などを巡る紛争を処理する世界貿易機関(WTO)は、中国のルール破りの貿易慣行を是正できていない。制度を見直し、実効性を高めることが必要だ。

 資源に乏しい日本は、国際協調に基づく自由貿易の恩恵を受けてきた。安倍首相は国連演説で、「多国間主義の枠組みとグローバリズムを、格差を減らすためにこそ用いる」と強調した。

 日本は今年、主要20か国・地域(G20)首脳会議を主宰し、WTO改革やデジタル社会のルール作りを提起した。アフリカ開発会議(TICAD)では、投資や貿易の活性化を後押しした。

 とはいえ、自国第一主義の行き過ぎを戒めるメッセージとしては物足りない。

 国際秩序が揺らいでいる現状に危機感を持ち、多国間協調を取り戻す重要性を広く訴える。その役割こそ、首相には求められる。

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813991 0 社説 2019/09/26 05:00:00 2019/09/26 05:00:00

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