日米貿易協定 現実を踏まえた次善の策だ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 世界の国内総生産(GDP)の3割を占める日米両国が、自由貿易推進の枠組みを作る意義は小さくない。

 安倍首相とトランプ米大統領がニューヨークで会談した。新たな貿易協定の内容で最終合意し、共同声明に署名した。

 米国産農産物の関税引き下げは環太平洋経済連携協定(TPP)を超えない水準で決着した。日本が重視するコメは協定から除外された。焦点だった米国による日本車への制裁関税は回避された。

 困難な交渉を経て現実的な妥協点を見つけたのは評価できる。

 ただ、トランプ政権はTPPから一方的に離脱し、自国の主張を通しやすい2国間協議に持ち込んだ経緯がある。米国が今後も制裁関税をちらつかせて、各国に妥協を迫る懸念は拭えまい。

 日本は国際協調を重視し、TPPや欧州連合(EU)との経済連携協定を実現してきた。

 今回の協定は米国が抜けたTPPの穴を埋める意味はあるが、公正で自由な貿易ルールを多国間に広げる理念とは相いれない。あくまで次善の策と言えよう。

 協定が発効すれば、多くの品目で関税が撤廃・縮小される。例えば、米国産牛肉への関税率は現在38・5%だ。これが、TPPに参加するカナダやニュージーランド産などと同じ税率まで引き下げられ、最終的に9%になる。

 割安な輸入品が増えて消費者は恩恵を受ける一方、国内の農業や畜産業には影響が出るだろう。

 政府が技術革新や大規模化を後押しして、農家の生産性と競争力を高めることが大切だ。日本産牛肉を米国に低関税で輸出できる枠は大幅に拡大された。「攻め」の姿勢で臨んでもらいたい。

 米国が日本車にかけている関税(乗用車で2・5%)の扱いについては継続協議となった。協議が続いている間は、「協定の精神に反する行動を取らない」ことが共同声明などに盛り込まれた。

 米国は、日本車への制裁関税や、輸入台数に上限を設ける数量規制などを検討してきた。輸入車の増加が米自動車メーカーの技術革新を阻害し、米国の安全保障を脅かすと主張している。

 発動されれば日本の自動車メーカーに深刻な打撃を与えよう。最悪の事態を回避することを優先して、自動車関税の撤廃を先送りしたのは、やむを得まい。

 日本が農産物の輸入で譲歩する以上、米国も自動車関税をなくすのが筋である。実現に向けて粘り強く働きかけていくべきだ。

無断転載禁止
815496 0 社説 2019/09/27 05:00:00 2019/09/27 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ