日銀短観悪化 今こそ将来見据えた投資を

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 企業心理が冷え込んでいる。業績の先行きについても慎重な見方が増えてきた。政府・日本銀行は、景気の腰折れ回避に万全を期すべきだ。

 日銀が9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業で前期より2ポイント低い5だった。3四半期連続の悪化で、6年3か月ぶりの低水準だ。

 自動車や生産用機械の悪化が目立つ。海外経済の不透明感が増す中で、輸出企業を中心に不安感を強めていることがうかがえる。

 内需関連が多い大企業・非製造業も2四半期ぶりに悪化した。小売りや宿泊・飲食サービスといった業種が足を引っ張った。

 心配なのは、設備投資が弱含んでいる点である。

 大企業の今年度の設備投資計画は、前年度比6・6%増と前回6月調査より下方修正された。

 企業の内部留保は460兆円を超えて最高の水準にあるが、自社株買いや預金などに回り、十分に活用されているとは言い難い。

 余力のある企業には長期的な視点に立った戦略が求められる。

 人手不足に対応した省力化投資にとどまらず、将来の成長に資する投資を加速させたい。革新的な技術・製品の開発や、次世代通信規格「5G」の普及を見据えた施設拡充に取り組んでほしい。

 消費税率が10%に引き上げられた。着実な賃上げの継続で社員に利益を還元し、消費の落ち込みを防ぐことも重要になる。

 短観によると、大企業・製造業は今年度、平均で1ドル=108円台の為替レートを想定している。円高が一段と進めば、輸出企業の業績を圧迫しよう。

 政府・日銀は、景気の下支えや行き過ぎた円高の阻止に向けて、財政・金融両面で機動的な政策運営に努めねばならない。

 日本経済は、最大の貿易相手国である中国への依存度が高い。日本のグローバル企業の多くは中国に製造拠点を置き、そこから海外にモノを輸出している。

 サプライチェーン(部品供給網)が中国に偏り、政治・経済情勢に左右されやすい。その危うさを認識する必要がある。

 トランプ米大統領の対中強硬姿勢をみれば、米中貿易摩擦は長期化が避けられまい。企業はそれを前提に事業戦略を見直し、経営リスクを減らすべきではないか。

 拠点を東南アジアなどに移すとしても、部品の仕入れ先の確保や従業員教育には時間がかかる。早めに手を打つことが大切だ。

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823496 0 社説 2019/10/02 05:00:00 2019/10/02 05:00:00

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