大規模停電 復旧遅れを真摯に検証せよ

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 大規模停電からの復旧が遅れ、市民生活が長期間混乱した。政府と自治体、電力会社に気の緩みや甘さはなかったか。

 9月の台風15号の影響で、首都圏など7都県では最大93万軒の停電が発生した。2週間前後続いた地域もある。

 深刻な被害を受けた千葉県では、停電による断水で、病院や福祉施設などが水や非常用電源の確保に追われた。停電に伴い、一部の地域では通信障害も起きた。

 衆参両院の災害対策特別委員会の閉会中審査で、野党は「政府の初動が遅れたことで、被害が長引いた」と批判した。

 武田防災相は「万全を期した」と述べる一方、「停電、通信障害という悪条件の中、的確な情報が入らなかった」とも語った。

 問題は、国、千葉県、東京電力が、被災状況の把握と、情報の共有に手間取ったことだろう。

 南房総市では、職員が避難所の対応に追われ、県への報告が滞った。鋸南町の防災情報システムは一時的に機能停止した。災害への備えは十分だったのだろうか。

 県が災害対策本部を設置したのは、台風が通過した翌日だ。森田健作知事は「想定外の災害で、意思疎通がうまくできなかったところがある」と釈明した。的確な状況把握は、災害対応の基本だ。態勢の再検討が求められる。

 東電は、復旧の見通しを何度も先送りし、混乱に拍車をかけた。早期回復を当て込み、電源車の手配を見送った自治体もある。

 政府は、県の要請を受けて自衛隊を派遣したほか、医療機関への電源車の配備などを進めた。

 自衛隊は、停電の原因となった倒木の処理などに携わったが、被災現場に到着しても東電の職員が不在で、高圧線などの切断ができないケースがあったという。

 電力安定供給の義務を負う東電と、電力政策を担う経済産業省、災害復旧にあたる自衛隊の連携が取れていたとは言い難い。

 政府は、官房副長官をトップとする検証チームを発足させた。年内に報告をまとめる。大規模な停電を重く見た異例の対応だ。停電が長期化した経緯や原因を真摯しんしに検証する必要がある。

 災害は時と場所を選ばない。円滑な情報交換や早期復旧に向けた役割分担、作業手順を具体的に定めておくべきだ。非常用発電機や給水車などを広域で融通し合う態勢を整えることが大切である。

 東電も検証を行う。インフラの保守点検や設備投資が万全だったかを調査せねばならない。

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827541 0 社説 2019/10/04 05:00:00 2019/10/04 05:00:00

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