かんぽ中間報告 経営責任の重さを自覚せよ

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 企業の社会的責任に対する自覚が足りないと言わざるを得ない。

 日本郵政グループが、かんぽ生命保険の不適切な契約を巡る調査の中間報告を発表した。

 保険業法などの法令や社内規定に違反した疑いのある契約は、過去5年で6300件を超えた。このうち、法令違反が約1400件に上った。ゆゆしき事態だ。

 かんぽ生命が金融庁に報告していた2018年度の法令違反は、わずか22件である。意図的な隠蔽いんぺいを疑われても仕方あるまい。

 保険を新契約に乗り換える際に「半年は解約ができないルールだ」などと虚偽の説明をし、保険料を二重払いさせた事例が多い。高齢者への強引な勧誘も相次いだ。

 調査開始後、約2か月で接触できた契約者のうち、約2万6000人が返金や契約を元に戻すことを要求している。保険料の払い過ぎのほか、割高な保険への乗り換えが主な理由だという。速やかに対応しなければならない。

 中間報告は、問題があるとみられる約18万3000件の契約の中から、約6万8000件を確認しただけだ。日本郵政は並行して、全契約を対象にした調査も進めており、今回の結果は「氷山の一角」との見方もある。

 全容解明を急ぐ必要がある。

 社内調査とは別に、外部の弁護士による特別調査委員会も現状報告した。日本郵政グループに企業統治(ガバナンス)が機能していなかったと指摘し、現場の実力に見合わないノルマが課せられていた点を問題視した。

 日本郵政の長門正貢社長は記者会見で、「下から情報が上がってこないことには話が始まらない」と釈明した。その発言自体が、企業統治の不全を物語っている。

 経営陣が、厳しい現場の実情を見過ごした責任は大きい。

 日本郵政は、10月に予定していたかんぽ商品の営業再開を、来年1月以降に延期すると決めた。当然である。ゆうちょ銀行でも、高齢者への不適切な投資信託の販売が見つかっている。再発防止策を徹底することが先決だ。

 長門社長は、自らの進退について「信頼回復に全身全霊で打ち込むことが経営責任だ」と、明言を避けた。責任を明確化し、一から出直す覚悟が見えない。

 金融庁は9月に立ち入り検査に入った。業務改善命令などの行政処分を検討するという。金融庁が目指す「顧客本位」の営業を金融界全体に徹底させるためにも、厳正な対処が求められる。

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831650 0 社説 2019/10/06 05:00:00 2019/10/06 05:00:00

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