都市機能の集約 災害リスクをどう取り除くか

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 日本列島は様々な災害に見舞われる。人口減に備えて都市機能を集約する場合には、災害リスクをいかに減少させるかが課題となろう。

 商業施設や住宅などを特定の区域に集める「コンパクトシティー」の計画を策定した自治体の9割超が、居住を誘導する区域に災害リスクがあるエリアを含んでいた。国土交通省の調査で明らかになった。

 リスクを抱える自治体は248市町だった。大半は、土砂災害警戒区域など住民の生命に危害が生じる恐れのある「イエローゾーン」を含んでいた。26市町に、より重大な被害が想定される「レッドゾーン」があったのは深刻だ。

 コンパクトシティーは、都市機能の集約化で暮らしやすい街にする政策である。病院や商業施設の周囲に居住区域をつくるのが一般的だ。域内の多くの住民が集中するだけに、安全の確保は最優先に考えなければならない。

 国交省が自治体に対して、災害リスクが想定されるエリアに居住区域を設定しないよう要請したのは理解できる。

 ただ、自治体によっては直ちに対応することが難しい事情があるのも事実である。

 広島県東広島市は、土砂災害のリスクが極めて高い区域を抱えている。市内の大半を山林が占め、平地は少ない。居住区域の設定にあたっては、山間地に近い場所を選ばざるを得ない。

 相模湾に面する神奈川県藤沢市は、海岸から続く平地部に住宅地が広がる。その一部は、南海トラフ巨大地震で最大7メートルの津波が予想されるイエローゾーンだ。

 災害リスクのある区域を完全に外して居住区域を設定することができない場合、防災機能を可能な限り高めることが欠かせない。

 砂防ダムなど、山間部で土砂災害を防ぐ工事を進める。沿岸部では津波の襲来に備えて、避難タワーを設ける。住民にハザードマップを配布し、災害の危険度や避難場所の周知を徹底する。こうした地道な取り組みが大切だ。

 それでも、自治体単独の対策には限界もあろう。自然災害を念頭に置いて、コンパクトシティーを計画するなら、従来の自治体の枠にとらわれず、複数の市町村が連携して、最適地を選ぶという考え方もあるのではないか。

 国や都道府県は市町村と対話を重ねる必要がある。中長期的な観点に立って、都市機能の効率化と防災に強い街づくりの両立を目指す努力が求められよう。

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832737 0 社説 2019/10/07 05:00:00 2019/10/07 05:00:00

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