無電柱化 整備促進し防災力高めたい

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 インフラの柱である電力供給網を、いかに強靱きょうじん化するか。鍵となるのが電線の地中化である。

 9月に発生した台風15号による千葉県の大規模停電は、強風で電柱が多数倒れ、復旧に長期間を要した。

 電線が地中を通っていれば、風の被害は避けられる。地震や津波にも強く、東日本大震災では、地中の通信線の被害は電柱の約25分の1だったという。

 防災力の強化には、電線を地中に埋める無電柱化が望ましい。

 車や人の通行を妨げる電柱がなくなれば、交通の安全向上につながろう。街の景観も良くなる。

 世界の主要都市では、地中に埋設する方式が主流となっている。地上に電線を張ることを、条例などで規制するケースが多い。

 無電柱化の割合は、ロンドンやパリは100%で、ニューヨークも、過去の暴風雪被害などを教訓に80%以上に高めた。

 一方、日本は東京23区内でさえ7・8%、全国では1・2%にとどまる。戦後の復興を急ぐ観点から、電柱を使って配電網や通信網の整備が行われた経緯がある。

 1980年代からは、一部の地域で地中化の取り組みが進められている。だが、電柱は今も約3600万本を数え、毎年7万本程度のペースで増え続けている。

 無電柱化が停滞している最大の理由は、コストの大きさだ。

 日本では主に、通信線と同じところを通す共同溝方式が取られている。電柱方式なら費用は1キロ・メートルあたり3000万円前後で済むが、共同溝は土木工事だけで1キロあたり約3・5億円かかる。

 海外では、電線を直接、地中に埋める工法が中心だ。これなら、工事のコストは1キロあたり1億円以下になると試算される。

 日本でも、直接埋設方式の普及を推進してはどうか。

 すでにある別の地下管路の活用も検討課題だ。効率的な無電柱化が可能になろう。

 地中化しても、変圧器などの機器を一定間隔で地上に設置する必要がある。機器の小型化や施工方法の改良などで、地元住民の理解を得やすくすることが大切だ。

 無電柱化にかかる費用は、国と自治体が約3分の2、電線を管理する電力会社などが3分の1程度を負担するのが一般的という。

 国や地方の財政事情は厳しい。優先順位を付けながら、整備していくことが欠かせない。

 人口と交通量の多い都市部や、景観保護が重要な観光地などで集中的に実施していきたい。

無断転載禁止
834684 0 社説 2019/10/08 05:00:00 2019/10/08 05:00:00

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