ノーベル化学賞 生活変えた業績が評価された

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 今年のノーベル化学賞が、旭化成の吉野彰・名誉フェローと米国の研究者ら計3人に授与されることが決まった。「リチウムイオン電池の開発」が授賞理由だ。

 リチウムイオン電池は、軽量かつ高出力で、充電して何度も使えるのが特徴だ。スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などに広く使われている。

 特殊な炭素材料を使うことに着眼し、リチウムイオン電池の原型を完成させた。IT革命の原動力を生み出した功績は大きい。

 中でも電気自動車は、温室効果ガスである二酸化炭素を排出しない乗り物として期待される。吉野氏は記者会見で、「電気自動車は持続可能な社会にも適している」と語っている。

 再生可能エネルギーの風力発電や太陽光発電で作り出した電気をリチウムイオン電池に蓄えれば、安定的に電気を使うことも可能になる。こうした環境面での貢献も授賞を後押ししたのだろう。

 吉野氏は京都大大学院を修了後旭化成に入社し、充電できる電池の開発に携わった。

 企業内研究者のノーベル賞受賞は、島津製作所の田中耕一さんらに続く快挙である。企業で様々な開発に取り組む研究者たちに夢を与えたのではないか。

 今回のケースでは、米国の大学の基礎研究を、日本の企業がうまく発展させて、商品化に結び付けた。産学連携の重要性を改めて示したとも言える。政府も積極的に支援し、大学と企業の共同研究を推進することが大切だ。

 日本のノーベル賞受賞は27人目で、自然科学分野では24人目だ。昨年の生理学・医学賞の本庶佑・京都大特別教授に続き2年連続の受賞でもある。日本の研究者の層の厚さを物語る。

 吉野氏は、1981年にノーベル化学賞を受けた福井謙一氏の孫弟子にあたる。日本の科学研究の伝統が、脈々と受け継がれていることの証左とも言えよう。

 近年、日本の若手研究者を取り巻く環境は厳しい。大学に残っても任期が限られ、腰を落ち着けて研究することが難しい。このため、博士課程を目指す若者も減少傾向にある。研究環境を整備することが欠かせない。

 吉野氏は受賞について、「若い研究者の励みになる」と述べた。これを契機に若手が挑戦を重ね、将来のノーベル賞につながる研究が生まれることを期待したい。

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838204 0 社説 2019/10/10 05:00:00 2019/10/10 05:00:00

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