介護保険改革 家事援助の見直しが急務だ

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 介護保険の見直し論議が厚生労働省の審議会で進んでいる。いざという時に頼れる制度にするには、サービスの効率化と重点化が欠かせまい。

 審議会は年内に意見をまとめ、政府は来年の通常国会に関連法案を提出する予定だ。

 2000年にスタートした介護保険は、介護が必要な人の生活を社会全体で支えることが目的だ。年金、医療と並ぶ社会保障の柱だが、高齢化に伴い介護費用は急拡大している。25年度には約15兆円に膨らむ見通しという。

 制度の安定性を高めるには、不要不急の安易な利用を抑制していく必要があろう。

 まず見直したいのは、訪問介護の生活援助サービスである。

 利用者は1時間300円程度の自己負担で買い物や掃除などの家事を頼める。比較的自立した人の利用が多く「家政婦代わりに使われている」との批判は根強い。

 首都圏のある事業者は、「家事をヘルパー任せにしたため、食事をお盆で運べた高齢者が運べなくなった例もある」と話す。過剰なサービスは、むしろ高齢者の自立を阻害しかねない。

 提供されている介護サービスが適切なのか、見極めることが大切だ。軽度な人向けの支援は、地域の実情に詳しい自治体の事業に移すべきだろう。

 ただし、自治体の手が回らず、「買い物難民」などが増える事態は避けねばならない。地域のNPOを育成・支援するなど、新たな受け皿作りを促進してほしい。

 そもそも、家事支援まで広く利用を認めた制度設計に無理があったのではないか。今後の制度改革で、踏まえたい視点だ。

 サービス利用時の自己負担の引き上げも、重要な論点である。

 利用者の自己負担は現在、原則1割だが、高所得の人には2~3割の負担を求めている。

 経済的に余裕のある高齢者に、相応の負担をしてもらうのはやむを得まい。2~3割負担の対象者拡大などが検討課題となるが、高齢者の反発も予想される。丁寧な議論に努めてもらいたい。

 負担増によって、本当に必要なサービスの利用が控えられることはないか、きめ細かな目配りを忘れてはならない。

 心配なのは、介護職員の人手不足だ。25年度には34万人の不足が見込まれる。処遇改善や外国人の登用、ICT(情報通信技術)活用による業務の効率化が急務だ。働きやすい職場環境を整え、人材の確保・定着につなげたい。

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855166 0 社説 2019/10/21 05:00:00 2019/10/21 05:00:00

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