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古典のAI解読 埋もれた知を掘り起こしたい

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 国文学や歴史学など人文学の分野で、先端技術を活用した研究手法の導入が進みつつある。埋もれた資料の発掘や新たな発見につなげたい。

 注目されているのは、人工知能(AI)による「くずし字」の解読だ。くずし字は平安時代から明治初期まで使われた。前後の文字がつながっていて切れ目が分かりづらく、専門家でも読みこなすには時間がかかる。

 国の情報・システム研究機構が開発したAIは約68万字のくずし字を学び、徒然草など古典の文字を瞬時に現代文字に変換する。

 近年、紙媒体の資料を画像としてコンピューターに取り込む手法が普及してきた。AIはこの画像を読み取る。研究環境のデジタル化が、新たなアプローチを可能にしていると言えよう。

 平安時代の女官の文章、戦国大名がやりとりした書簡、江戸時代の庶民が残した商いの記録。くずし字で書かれた資料は国内に数億点規模で残るとされるが、解読されたのは一握りにすぎない。

 AIの活用によって、手つかずだった資料に光が当たれば、先人たちの暮らしぶりや、往時の町や村の様子などが生き生きとよみがえるに違いない。

 デジタル化された資料を比較する研究も見られる。

 江戸幕府や大名家の人事情報が記載された複数のデジタル画像を比較し、画像の変更箇所を検出する。変更箇所は家臣の昇進などを反映している。こうした人事異動の分析は幕藩体制の一端を知る手がかりになろう。

 膨大な資料を効率的に読み解く技術が、今後の歴史研究に果たす役割は小さくない。

 デジタル技術の活用で期待されるのは、災害研究の分野だ。

 庶民の日記や役所の記録に書かれた地震や噴火の記述をデータベース化し、コンピューターで解析すると、災害の規模や被害範囲を推定することが可能になる。

 東日本大震災では、9世紀に東北地方を襲った貞観地震と、揺れの強さや津波の大きさが類似していると指摘された。

 歴史に残る大地震や噴火のデータ分析を重ね、防災対策に生かすことが大切である。

 東京大学地震研究所などのチームは、地震に関する古文書の画像データをインターネット上で公開し、希望者に解読を手伝ってもらうプロジェクトを続けている。

 ネットの特性を生かした市民参加型の試みは、防災意識の向上にも役立つはずだ。

無断転載・複製を禁じます
862888 0 社説 2019/10/25 05:00:00 2019/10/25 04:19:21

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