ハンセン病補償 理不尽な差別取り除く施策を

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 ハンセン病の元患者や家族への偏見は今も根強く残る。経済的な補償にとどまらず、差別を着実に解消する取り組みが求められる。

 ハンセン病元患者の家族に対する補償法案の骨子がまとまった。元患者の親や子、配偶者に180万円、きょうだいや同居していた家族に130万円を支払うという内容だ。

 国に賠償を命じた6月の熊本地裁判決に比べ、支払額を上積みした。判決が賠償を認めなかった、米国統治下の沖縄にいた家族らも対象に含めた。幅広く救済するという考え方はうなずける。

 政府が控訴を断念し、おわびを表明したことを受け、超党派の議員懇談会が補償内容を検討してきた。開会中の臨時国会に議員立法で法案を提出する。高齢の家族が多い点を考慮し、早期に法案の内容を固めたことは評価できる。

 ハンセン病は極めて感染力の弱い疾患だ。にもかかわらず、国の誤った隔離政策が、元患者だけでなく、家族への苛烈な偏見や差別を生んできた。

 判決で認定された被害は、就学拒否や村八分、結婚や就職での差別など多岐にわたる。まさに「人生被害」そのものと言える。

 補償と合わせ、元患者の名誉回復を目的とするハンセン病問題解決促進法も改正される。今回、家族も被害者として明確に位置づけることにしたのは当然だ。

 今後は、差別や偏見を生まないための施策を、具体的に進めることが重要になる。

 政府はこれまで、差別解消に向けたシンポジウムを開催したり、全国の中学生に啓発冊子を配布したりしてきた。だが、国のハンセン病施策の過去の過ちや、深刻な差別の実態が、きちんと社会に伝わっていたとは言い難い。

 子供たちにハンセン病の歴史に関する正しい知識を教える。学校や地域で、元患者や家族の話に耳を傾ける機会を設ける。通り一遍でない、踏み込んだ教育や啓発の取り組みが欠かせない。

 元患者と家族の関係修復への支援も忘れてはならない。

 多くの家族が、身内に元患者がいることをひた隠しにして生きてきた。家族の絆を取り戻すため、療養所のスタッフや、社会福祉士ら専門家が当事者間の連絡役を担う仕組みを作ってはどうか。

 各地の療養所で暮らす元患者約1200人の平均年齢は86歳に達し、医療や介護が必要な人は多い。元患者が安心して暮らし続けられる環境の維持が何より大切だ。

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865095 0 社説 2019/10/26 05:00:00 2019/10/26 05:00:00

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