RCEP交渉 枠組み崩壊の危機しのげるか

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 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の首脳会議は、これまで目標としてきた年内の妥結を断念した。

 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16か国による新たな自由貿易圏を作る。その枠組みが崩れる事態を防げるか。正念場である。

 深刻なのは、インドが離脱を表明したことだ。残りの15か国は来年中の署名を目指して手続きを進めるとしている。先行きは見通せず、危機的な状況と言えよう。

 RCEPは、ともに人口13億人を超える中国とインドが参加する点に意味がある。16か国の人口は世界のほぼ半分、国内総生産(GDP)では約3割を占める。

 実現すれば、貿易や投資が活発になり、域内の成長を押し上げると期待される。保護主義に傾く米国への牽制けんせいにもなろう。

 インドは関税の引き下げや撤廃に慎重な姿勢を崩さなかった。中国からの安い製品が大量に流れ込むことを懸念したのだろう。経済成長が鈍化し、反対論が国内で強まったことが背景にある。

 RCEPへの参加は、インドが強みを持つソフトウェアなど、IT分野の輸出拡大に弾みをつけるのではないか。IT人材の海外展開につながる可能性もある。

 日本はこうした利点を訴え、粘り強くインドに復帰を促すことが重要だ。茂木外相が記者会見で、「16か国での協定署名に向けて主導的な役割を果たしていきたい」と述べたのは理解できる。

 米国に対抗して国際協調の姿勢をアピールしたい中国は、RCEPへの期待が大きく、15か国での署名を急ぐはずだ。インド抜きで発効すると、東アジアでの中国の影響力が強まる恐れがある。

 日本にもRCEPの恩恵は及ぶ。経済連携協定(EPA)を結んでいない中国や韓国向けの輸出を増やす効果が見込める。

 参加国同士が既に締結しているEPAは、中身が微妙に異なり、企業の使い勝手は良くない。

 RCEPの発効によってルールが統一されれば、アジアに多く進出する日系企業は原材料の調達などの戦略を立てやすくなる。

 日豪など11か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)では、国有企業への不当な補助金の支給や、知的財産権の侵害に歯止めをかける規定が設けられた。

 RCEPの詳細は公表されていない。ただ、中国に配慮し、TPPのような厳しい規定はないとみられる。不公正な貿易慣行の撤廃へ、内容の充実も求められる。

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882968 0 社説 2019/11/06 05:00:00 2019/11/06 05:00:00

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