インド太平洋 自由と協調に基づく地域に

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 米国の自国第一主義や中国の力による威圧を抑え、地域の安定と繁栄を維持する。その重要性を再認識する場になったのではないか。

 日米中露と東南アジア諸国連合(ASEAN)など18か国による東アジア首脳会議(EAS)がバンコクで開かれた。主要議題となったのがインド太平洋での秩序と協力のあり方だ。

 インド太平洋は、南北アメリカの西岸からアジアを経てアフリカの東岸に至る広大な地域を指す。太平洋や南シナ海、インド洋など重要なシーレーン(海上交通路)が含まれる。

 安倍首相は会議で、2016年から提唱してきた「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を強調した。国際法に基づく航行の自由を確保し、自由貿易を通じて域内の経済成長を目指す構想だ。

 中国の南シナ海の軍事化や巨額融資を通じた経済圏構想「一帯一路」を牽制けんせいする狙いがある。

 首相が「考え方を共有する全ての国と協力する」と述べたのは、中国をルールに基づく秩序に取り込もうとしているからだ。

 問題なのは、日本の構想に同調している米国が、地域での存在感を低下させていることである。

 トランプ大統領は就任以来、3年連続でEASを欠席した。昨年の会議に出たペンス副大統領も今回は出席を見送った。アジア軽視の印象を与えたのは否めない。

 米国は、安全保障面では中国を抑止する観点からアジアへの関与を維持しているが、通商面では自国の利益を優先し、多国間協議に背を向ける。中国が米国の不在を突く形で影響力を拡大しつつある現実を、米国は認識すべきだ。

 中国の李克強首相はASEAN首脳との会議で、南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」について「干渉を排除し、協議のハンドルを我々が握る」と強調した。米国の介入を阻止し、中国に有利な規範とする意図は明白だ。

 ASEANは6月、東南アジアの主体性を強調した独自のインド太平洋構想を発表した。米中の覇権争いに巻き込まれ、どちらか一方につくことを迫られる事態を警戒しているのだろう。

 インド太平洋を重視する構想はインドやオーストラリア、韓国なども掲げるが、中国への対処については温度差がある。各国が問題意識を共有し、構想の相乗効果を高めていくことが欠かせない。

 日本はその取り組みを主導し、米国を地域につなぎ留める役割を果たさねばならない。

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882972 0 社説 2019/11/06 05:00:00 2019/11/06 05:00:00

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