香港の衝突激化 当局は安定回復の糸口を探れ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 香港で警察とデモ隊の衝突が激化し、都市機能の麻痺まひが進んでいる。安定回復の糸口が見えないのは深刻な事態だ。

 警官は実弾入りの拳銃をデモ隊に向け、学生が撃たれて一時重体となった。大学構内でも催涙弾を大量に発射し、学生らを拘束した。

 デモ隊は火炎瓶などを投げ、警察に応戦している。鉄道の線路や道路にも物が投げ込まれ、公共交通の運休が相次いだ。香港政府は幼稚園から高校までの全学校を一時休校にすると発表した。

 デモ隊が過激な暴力だけに訴えていれば、当局の統制や弾圧の正当化に使われるだけだろう。

 香港当局は、警察による取り締まりの強化で、事態を収拾しようとしている。中国政府の意向を踏まえているのは間違いない。

 中国の習近平国家主席はブラジルでの新興5か国(BRICS)首脳会議での演説で、「香港警察の厳正な法執行と司法機関による処罰を断固支持する」と述べ、摘発の厳格化を求めた。

 中国トップが「内政」と位置づける香港情勢について、国際会議で発言するのは異例だ。長引く混乱にいらだちを募らせているのではないか。外国の干渉を許さない姿勢を強調する狙いもあろう。

 習氏は今月初め、香港政府トップの林鄭月娥行政長官と会談し、事態の収拾を強く求めていた。香港警察による武器使用基準が緩和されたとの指摘もある。

 問題なのは、中国が香港住民の民意を見誤り、力で抑え込めると認識していることだ。デモ隊は警察による暴力の責任追及などを要求しているが、香港政府は一切応じていない。

 中国は「一国二制度」に基づく高度な自治を香港に約束しながら共産党による統治を強めている。香港の独自性が失われることへの住民の危機感が、6月から続くデモが長期にわたり、幅広い支持を集めていることの根底にある。

 24日には、地方選にあたる区議会選挙の投開票が予定される。有権者が直接投票できる貴重な機会だ。現在は親中派が多数を占めるが、今回は民主派が多数立候補し、躍進が予想されている。

 林鄭氏は「実施に向けて最大限努力するが、安全と秩序を確保する必要もある」と述べ、選挙を延期する可能性に言及した。

 混迷が続く今だからこそ、民意を直接問う意義は大きい。当局とデモ隊が共に自制し、公正な選挙を円滑に実施できる環境を整えることが重要である。

無断転載禁止
901641 0 社説 2019/11/16 05:00:00 2019/11/16 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ