暴力団対策 弱体化へ警察と行政は連携を

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 暴力団は市民生活の安全を脅かす存在だ。警察と行政、地域住民が連携を強め、弱体化を図っていく必要がある。

 北九州市にある暴力団工藤会の本部事務所を売却する契約が成立した。市が購入先を探すなど関与したのが特徴だ。

 福岡県公安委員会が指定する暴力追放運動推進センターに対し、工藤会側が事務所を売却し、さらに民間企業に転売する形をとった。代金の一部はセンターで管理し、被害者救済に充てられる。

 行政が交渉の前面に立ち、民間企業には暴力団を接触させない。暴力団排除の新たな取り組みとして、注目されよう。

 工藤会は市民や企業への襲撃を繰り返し、全国で唯一、特定危険指定暴力団に指定された。本部事務所は、暴力団対策法に基づき使用制限命令を受けていた。今回の事務所売却が工藤会にダメージを与えるのは間違いない。

 福岡県警は、工藤会の総裁らを逮捕する「頂上作戦」を展開してきた。市民による繁華街のパトロールも重ねられた。官民が協力し、監視を続けることが大切だ。

 各地の暴力追放運動推進センターの中には、住民に代わって、暴力団事務所の使用差し止めを求める訴訟を起こすところもある。こうした代理訴訟制度で、これまで10件以上の差し止めが認められた。有効な対策と言える。

 警察庁によると、昨年末時点の全国の暴力団構成員らは3万500人で、過去最少だった。14年連続で減少している。暴排活動の広がりが、組員の離脱を進めている面はあるだろう。

 だが、油断は禁物だ。暴力団に属さない「半グレ」と呼ばれるグループの違法行為が目立つ。半グレから暴力団に上納金が流れていたケースもある。

 警察庁は特定の半グレグループを「準暴力団」と認定し、取り締まりを強化している。統計には表れない、潜在化した動きがあることを忘れてはなるまい。

 暴力団への利益供与行為を禁じた暴力団排除条例が全都道府県で施行されたが、暴力団による資金獲得活動は巧妙化している。高齢者らを狙った特殊詐欺は、重要な資金源とみられる。警察は摘発を強化してもらいたい。

 指定暴力団山口組の分裂に伴う抗争にも厳重な警戒が必要だ。分裂後の抗争事件は100件を超える。先月には山口組ナンバー2が出所し、対立の激化が懸念される。市民の安全確保に、警察は全力を尽くさなければならない。

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907773 0 社説 2019/11/20 05:00:00 2019/11/20 05:00:00

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