GSOMIA 韓国の破棄見直しは当然だ
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日米韓3か国の防衛協力が傷つく事態はひとまず回避されたが、日韓間の懸案解決はこれからである。対話を重ね、信頼関係を回復することができるか。楽観は禁物だ。
日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、韓国は「8月の破棄通告の効力を停止する」と発表した。このままでは、23日に失効するところだった。
2016年に締結されたGSOMIAは、日韓両国が相互に機密情報を提供する枠組みだ。北朝鮮の脅威に対し、日米韓が連携を強めていることを象徴している。
安倍首相は「北朝鮮への対応に日米韓の連携は重要だ。韓国もそうした戦略的観点から判断したのだろう」と述べた。
失効した場合、東アジアでの米軍の影響力低下を目指す北朝鮮と中国を利することになる。韓国の文在寅政権は、その重大性を認識すべきである。
米国の韓国に対する強い圧力が功を奏したのは間違いない。エスパー国防長官ら要人が相次いで訪韓し、協定延長の必要性を説いた。米上院は、「破棄は米国の安全保障に害を及ぼす」と警告し、再考を促す決議を採択した。
日米両国は引き続き、韓国が東アジアの厳しい安全保障環境を踏まえて適切な対応をとるよう、促していかねばならない。
韓国は協定破棄の通告を、日本による対韓輸出管理の厳格化への対抗策と位置づけていた。そもそも、貿易問題を安全保障にからめたことに無理があった。
韓国政府は、日本の措置が世界貿易機関(WTO)ルールに違反するとして、WTOに提訴する手続きに入っていたが、今回、手続きを中断すると日本側に通告した。日本は、輸出管理に関する韓国との政策対話に応じる。
軍事転用の可能性のある物資の管理に問題があるとして、日本は輸出手続きを簡略化する優遇対象国から韓国を除外している。韓国の対応を見極める必要がある。
日韓関係の好転は、韓国人元徴用工を巡る対立が解消されない限り、期待できない。
韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償支払いを命じた判決は、1965年の日韓請求権・経済協力協定に違反する。にもかかわらず、文在寅政権は実効性のある善後策をとっていない。
日本企業の資産は差し押さえられており、現金化されれば実害が及ぼう。韓国政府は、日本側が受け入れ可能な解決案を早急に提示しなければならない。