NATO会議 亀裂を乗り越えて戦略定めよ

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 ロシアや中国の軍事的脅威の高まりに、結束して対処できるのか。同盟の亀裂をまず修復し、戦略を構築、共有していかなければならない。

 北大西洋条約機構(NATO)がロンドンで創設70年を記念する首脳会議を開き、安全保障環境の変化に見合った同盟のあり方を議論していくことで一致した。

 NATOは冷戦期にソ連の脅威から西欧を守る目的で発足した。加盟国への攻撃を自国に対する攻撃とみなし、自衛権を行使することが条約で明記されている。

 米国が強大な戦力で同盟を主導する構造が抑止力となり、国際秩序の安定と冷戦終結を導いた。冷戦後は、存在意義やコストをどう分担するかが問われてきた。

 「対国内総生産(GDP)比で2%の国防費を支出する」というNATOの共通目標を達成したのは、加盟29か国中、9か国にすぎない。米国の過度の負担を避けるには、ドイツなど未達成国の支出増の取り組みが欠かせない。

 問題は、トランプ米大統領の自国第一主義で、集団防衛体制の信頼性が揺らいでいることだ。

 トランプ氏は今回の訪英でも、国防費を適切に支出していない国を米国が守ることは「不公平だ」との認識を示した。集団防衛体制の責任を果たすかどうかを問われても、「興味深い質問だ」と述べるにとどめ、明言を避けた。

 シリア情勢でも、足並みの乱れが露呈している。トランプ氏は、欧州諸国と事前に協議をせずに、シリア北部からの米軍撤収を決めた。NATO加盟国のトルコはロシアに接近し、米欧の反対を押し切ってシリアを越境攻撃した。

 マクロン仏大統領が「NATOは脳死状態だ」と述べ、危機感を示したのは理解できる。加盟国の相互不信を解消し、共通認識を深めるべきだという訴えだろう。

 ただ、マクロン氏が提唱する「欧州軍」創設には疑問が残る。米国の軍事力に依存せずに、抑止力を維持できるのか。

 ロシアの軍事的脅威に直面する東欧諸国は、「米国の関与は不可欠だ」と主張する。NATOの機能強化がより現実的な方策だ。

 今回の首脳会議では、中国の脅威への対処が初めて協議された。国際的な軍備管理に中国を取り込む必要性で一致し、通信網の安全性の確保も確認した。

 欧州諸国の多くは、中国の脅威を実感できず、経済取引を重視する傾向がある。米欧間で対中認識の差を埋め、政策をすり合わせていくことが重要だ。

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935398 0 社説 2019/12/06 05:00:00 2019/12/06 05:00:00

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