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不祥事の追及に労力を費やし、与野党の政策論争は深まりを欠いた。憂うべき事態である。
臨時国会は、9日に会期末を迎える。政府が重視した日米貿易協定は承認された。農産品などの関税を撤廃・削減する。
大企業に社外取締役を1人以上置くことを義務づける改正会社法なども成立した。
野党は今国会で、政府の様々な疑惑や不手際を集中的に取り上げた。政治とカネの問題を巡る2閣僚の辞任や、大学入試での英語民間試験の導入見送りに続いて、野党が矛先を向けたのは首相主催の「桜を見る会」である。
功績を残した人々を慰労するのが本来の目的だが、首相側は地元後援会員らを多数招待していた。桜を見る会の趣旨に反しており、節度を欠いたとの批判は免れない。政府が開催基準の抜本的な見直しを決めたのは当然である。
立憲民主党など野党5党は、追及本部を設置した。関係省庁の担当者を呼び、事細かに問題点をあげつらった。衆参両院の予算委員会で首相出席の集中審議も求めたが、与党は応じなかった。
野党は、安倍内閣のイメージダウンを狙い、政府・与党は野党の攻勢をかわし続けた。国会戦術上の駆け引きに終始し、本質的な議論は乏しかった。言論の府として、嘆かわしい。
貿易協定に関して、日本の通商政策はどうあるべきか。消費税率の10%への引き上げによる影響を点検し、景気をいかに下支えするか。臨時国会はこうした論点を掘り下げる必要があった。
与野党の党首が大所高所から意見を交わす党首討論が開催されなかったことも残念だ。
衆院の憲法審査会は、委員らが9月に実施したドイツなど欧州視察を議題に、3回の自由討議を行っただけだった。参院は実質審議すら行わなかった。
国民投票の利便性を高める国民投票法改正案について、与党が採決を求めたものの、立民党などは応じなかった。昨年の通常国会からたなざらしになっている。憲法本体の議論に入るのを遅らせる狙いがあるとすれば問題である。
自民党は自衛隊の根拠規定を追加する9条改正など4項目の案をまとめているが、審査会での本格的な議論には至っていない。
内外の情勢の変化に合わせて、憲法のあり方を不断に見直すことは国会の責務だ。与野党はそれぞれの問題意識を表明しあい、議論を深めていくことが大切だ。



















