税制改正大綱 「攻めの投資」を喚起できるか

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 企業や家計が積極的な投資に踏み切るきっかけとなるだろうか。

 自民、公明両党が、2020年度の与党税制改正大綱を決めた。経済成長を促す施策に重点を置いた。

 焦点となっていた企業の余剰資金の活用策では、新興企業への出資に対する減税措置を導入する。設立から10年未満、独立系で非上場などの条件を満たす企業に出資すれば、出資額の25%分を法人税の課税所得から差し引く。

 日本企業に根強い「自前主義」を改め、異業種の知見を生かす「オープンイノベーション」を進める狙いは理解できる。

 対象は、一定額以上の出資に限り、5年間の株式保有も義務づける。短期的に利益を稼ぐ投機を防ぐ趣旨はうなずける。

 投資促進では、通信会社などに、次世代通信規格「5G」の通信網整備を加速させる減税も行う。法人税から投資額の15%を差し引けるようにする。当初は9%の方針だったが、大幅に上乗せした。

 高速・大容量通信ができる「5G」網の整備や製品開発は、米国や中国に後れを取っている。投資を前倒しする業者などに減税対象を絞り、整備の迅速化を図る。

 安全で信頼性の高い通信網を構築するため、政府が支援対象業者を認定する制度も新設する。

 課題は、新たな税制を実効性あるものにすることだ。

 既に設備投資や研究開発、賃上げなどに関する減税措置があるのに、企業は「攻めの姿勢」に転じていない。その要因を分析し、新税制の浸透につなげてほしい。

 オープンイノベーションの推進には、規制緩和や人材の流動化なども必要となる。民間活力の強化に向けた諸施策を一体的に進めることが望ましい。

 家計金融資産を「貯蓄から投資へ」と誘導する施策も重要だ。運用益を非課税とする「一般NISA(ニーサ)」を見直す。

 低リスクの投資信託などに運用商品を限定した年20万円の積立枠を設ける。原則として、これを使った人だけに、株式などにも投資できる102万円の枠を与える「2階建て」の仕組みとする。

 一般NISAは短期の株式売買に使われ、国民の資産形成に役立っていないとの批判がある。

 低リスク投資の枠を設けることで投機的な利用者の参加を抑え、長期的な分散投資を促す。

 「人生100年時代」をにらみ、老後の資産作りは大切な課題である。国民の声にも耳を傾け、使い勝手の良い制度にするべきだ。

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948234 0 社説 2019/12/13 05:00:00 2019/12/13 05:00:00

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